緩やかに流れる物語。
- ★★ Very Good!!
- 喜多川 信
見事な筆力です。世界観もキャラクターも、この筆力によって魅力的に描かれています。
やや血生臭いお話でもありますが、熱い所は熱く、冷たい所は冷たく、可愛らしく、微笑ましくもあり、高尚かつ神話的で意味不明な部分もあったりと、この作品内の世界というものが伝わってきます。ゆっくりと紡ぎ出されていく、丁寧な織物のような物語です。
個人的に、カティの出番はあと二割ほど増やして欲しいです。
ただ一点。
文章能力の高さやキャラクターたちの魅力、後半のストーリー、それらすべてが前半によって足を引っ張られていると感じました。これほど魅力的なシーンを鮮やかに描けるのですから、訓練課程などの描写はもっともっと少なくて良いはずです。
丁寧であるべきではない部分まで、丁寧に描いてしまっています。これは結果的に、読者をふるいにかける行為となるはずで、それが何よりも残念でなりませんでした。