セイレネス・ロンド/歌姫は幻影と歌う

作者 一式鍵

145

53人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

一式ワールドの深層はここより始まりて。
そう直感したので、世界に飛び込んでみた。

想像を絶するカティの命運に、鳥肌と、興奮と、ほんの少し暖かくて優しいひと時とが混ざりゆく。
裏で暗躍する諸々は何が為か、誰が為か。
大切なものに触れ、人間味が戻るカティを襲う事件が連れてくる、息吐く暇のなさは圧巻の一言。

序章に触れただけでは語るに足りないので、大人しく続きへと飛び立ってくるとする。

★★★ Excellent!!!

戦争のどこへ向かっていくのか分からない不安感、敗戦の絶望感、政治と世論の為の戦い、失われた数えきれないあの人の笑顔。

戦争に翻弄される主人公達の、戦いの覚悟。苦しさ、ささやかな希望。

それらを量子論をはじめとした物理学、情報科学、哲学、政治、神話……多彩な知識と深い造詣のもと、著者の哲学が描かれた作品です。

世界を日常を、戦乱の銃撃音が跡形もなく搔き消していく。
その時は突然、理不尽にやって来る。
遠く、見知らぬ誰かが糸を引いたものに、貴方達は踏み潰されていく。
いつも寝る場所も、いつも見る顔も、いつも話す声も、約束も、なにもかも。

失っても続く明日を。険しい明日に希望を見つけるため、踏み出さなくてはいけない。
夜空を見上げれば、その勇気が湧いてくるだろう。
また、空を飛ぼうと思うだろう。

社会を、人間を
登場人物一人一人が生きていくことを考えさせる素晴らし作品です。
ぜひ御一読を。

★★★ Excellent!!!

 温度を感じる作品と出会った。

 冷徹なまでに終焉を予感させるストーリー、兵器から繰り出される無慈悲な炎の熱さ、武器のひやりとする硬質な手触り、次々と失われていく命の温度。
 境遇からくる感情の烈しさ、淡い恋も大切な絆も、日常を照らす陽の光のような柔らかな温もり。

 歌姫が奏でる調べの流るる先。
 ロンド――輪舞曲。
 物語は繰り返し、運命の輪を回す。
 少女は、全てを失い抱擁と共に再生す。

 ああ。高みより、外れた枠より世界を描く者たちよ。失うことが、少女の過酷な運命だと言うのか。

 星を、大地を焼く核さえ凌駕しながら、人間はどこへ行き着くのか? 黄昏を待つ終末か、狂気の果てか、それとも神の座か。

 321,273文字98話、重厚というより重唱と呼ぶべきだろう。
 オペラなのだ、この作品は。
 遊びはあっても無駄を感じない、密度の高い構成。登場人物たちの個性や配置の妙もさることながら……旧きあの日に置き忘れた中二病をくすぐる言葉の数々。

 イタイ? いいや。あの頃、私達は本気で格好良いと思っていたはずだ。その感情を喚起させる、この歓喜よ!

 Web向きではないのかもしれない。読者に問い、試し、或いは要求する作品かもしれない。だが、それだけのクオリティであることは保証させて頂く。

 もうひとつ、温度と出会った。
 それは、作者のこの作品に込めた熱量である。

★★★ Excellent!!!

重厚な世界観やストーリーを存分に味わえるこの作品。

そこについては多くの方が語ってくれているので……私はあえてまだまだ推しが少ない『戦闘機による空戦シーン』をオススメしておきたいです。
あのように複雑で理解しづらくなりそうなシーンを、こんなにもわかりやすく描写してくれるなんて……。
まるでカティと共に編隊を組んでいるような臨場感たっぷりの空戦シーンを、手に汗握ってじっくりと楽しめることでしょう。

あと一つ。時折挟み込まれる、IT系の用語。
それも、世界の根幹の構築に関わるような雰囲気が見えてくるようで。
明らかにはされていないので私の妄想ではあるのですが、とても興味深いところではあります。

物語は謎を深めつつ、第二部へ。
これから先も、まだまだ目が離せません。

★★ Very Good!!


 見事な筆力です。世界観もキャラクターも、この筆力によって魅力的に描かれています。
 やや血生臭いお話でもありますが、熱い所は熱く、冷たい所は冷たく、可愛らしく、微笑ましくもあり、高尚かつ神話的で意味不明な部分もあったりと、この作品内の世界というものが伝わってきます。ゆっくりと紡ぎ出されていく、丁寧な織物のような物語です。
 個人的に、カティの出番はあと二割ほど増やして欲しいです。


 ただ一点。
 文章能力の高さやキャラクターたちの魅力、後半のストーリー、それらすべてが前半によって足を引っ張られていると感じました。これほど魅力的なシーンを鮮やかに描けるのですから、訓練課程などの描写はもっともっと少なくて良いはずです。
 丁寧であるべきではない部分まで、丁寧に描いてしまっています。これは結果的に、読者をふるいにかける行為となるはずで、それが何よりも残念でなりませんでした。

★★★ Excellent!!!

とにかくボリュームがある為、とりあえず第1部まで拝読させて頂き、レビューを書きました。
近未来の戦争という事を題材としていますが、驚かされるのがその奥深さと壮大さ。
世界情勢についてもオリジナルとは思えないほど、よく練り込まれていて一級のSF映画でも観ているかの様です。
また、登場人物の心情も掴みやすく、取っ付きにくさの無い、誰にでも読みやすい作品なのでは無いかと思います。
これらの事からも、構成力、描写力は素晴らしいものをお持ちだと感じますね。

★★★ Excellent!!!

第一部読了しました。

私は、実をいうと今迄戦闘機での戦闘ものというのはアニメでも映画でもあまり見たことがありませんでした。
なので、読み始めたときは、私には無理かなぁと思ったんですよ。

でもね。気が付くと、はじめ感じた苦手意識なんで軽く吹き飛んでいました。

その描写力と、ストーリーに引き込んでいく物語のもつ力強さは凄いです。

戦闘機が複数機飛び交う三次元的・立体的な動きを、読むスピードを阻害することなく的確に描き出す描写力には舌を巻きます。
いつしか文章を読んでいたことを忘れて、映画かアニメを見ている気分になったくらいでした。

え?どうなるの?このあとどうなるの????と思いながら、夢中でスクロールしていくうちに気が付いたら読み切っていました。

これから主人公や少女たち、士官たちがどう行動していくのか。闇で暗躍する超越した存在たちが何をしようとしているのか……興味は尽きません。

個人的には、衆愚化した民意やその民意に迎合するだけのマスコミに国政や軍も翻弄されていく様が、リアルだなぁと思って面白かったです。

★★★ Excellent!!!

1章まで読み終えてのレビューです。

描写が細かく映像を見てるかのように読み進めることができました。紙媒体でも映像としても是非見てみたいです!

悲惨な過去を持つ主人公のカティと特殊な能力を持つ2人の少女。今のところ物語はこの3人を中心に進んでいます。少女2人は歌姫と呼ばれていた。歌姫とは一体なんなのか?

それ以外にも重要な単語があちらこちらに散りばめられています。
1章は彼女達の初出撃の7年前の出来事とゆうことなので、出撃の場面まで早く読み進めていきたいと思います。

彼女達のこれからの関係性がどうなっていくのかにも注目していきたいところです。
引き続き追っていきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

 まず、クールでそつのない美しい文体、一見なにげない表現の選択のセンスに魅せられました。そして、その文体や表現を実現するための、一式さんの確かな知性と膨大な知識、人生において積み上げてきた並大抵でない努力の痕跡に、心が震えました。美しい白鳥が華麗に泳ぐとき、水面下で必死に足を漕いでいる。よく使われるメタファーですが、一式さんのためにあるような隠喩です。

 参照している既存のテキストすべてを把握したわけではありませんが、神話、哲学、文学等への、中二病的な(褒めてます)アプローチは、知識欲を刺激し、知っている人にとっては心の中でほくそ笑む楽しさもあろうかと思います。

 構成としては序盤の引きが若干弱く感じられたのですが、その日常的な空気が、中盤において常軌を逸脱してくる際の衝撃と興奮をお膳立てしており、その逸脱ぶりが後半にかけて天井知らずにエスカレートしていく様は、凄まじいの一言に尽きます。だから序盤で見切りをつけずに、最後までちゃんと読んで欲しいです。

 未知のOSを駆使し世界を支配する超越的な一人の人間は、繰り返される永劫の回帰の中、どのような決着を望んでいるのか?彼の左手と右手に座し、彼の思惑に干渉する悪魔(のようなもの)と天使(のようなもの)の存在は何を起源(ヒントはある)とし、彼を、人間を、そして世界をどうしたいのか?必死に足掻きながらも、今はそれらに翻弄されているだけのように見える少女たちと、彼女らを取り巻く登場人物たちの運命は?第2部以降に引き継がれるこの尋常ならざる物語を、一ファンとして見守りたい。そんな気持ちになりました。

★★★ Excellent!!!

神話や古典文学のふんだんな引用が格式高い雰囲気を醸し出す本作品。
哲学、物理学、情報科学の非常に深い造形を軸に世界を再構築する試みが、単なる「らしさ」の演出ではなく、一本芯の通ったどっしりした読み応えの超本格SFを下支えしています。
ストーリーの骨格においては、民主主義の末路として生み出された自信過剰な愚者たちのマジョリティを巧みに利用した政治的駆け引きから、最前線における刺激的な戦術のぶつかり合いまで、極限まで練り込まれた高度な応酬を全レイヤーでたっぷり楽しむことができます。

頂点に君臨するのは、人々が当たり前に受け入れている倫理の裏に隠れた身勝手さ、蒙昧さを丸裸にし、巧みに付け込んで世界を思いのままに操る超越者たち。
森羅万象の理を見抜き、巨視的に無謬の論理を備えた彼らは、まさに王であり、神であり、悪魔と呼ぶに相応しい存在。
愚者に彼らは刺せない。鋭利な知性を以て迫らなければ彼らには届かない・・・
しかし恐らくそれだけでは駄目なのだと思います。
原始的で、感覚的で、論理が意味をなさないもの・・・彼らにとって微視的な揺らぎこそが、一矢報い得る刃となるのでは・・・少年少女たちの繰り広げる心温まる人間ドラマに、そんな予感を抱きました。

赤毛の少女のために催された「儀式」。
計画の最終段階において、彼女にはさらなる供物が用意されるのではという不吉な予感も抱いてしまう展開ですが、自棄にならず、生きている者が互いに支え合って、迫りくる危機をどうにか乗り越えて欲しいと願わずにはいられません。

★★★ Excellent!!!

神話、天文学、軍事、哲学等様々な要素の盛り込まれた壮大なスケールのSFです。
独特の世界観の近未来が舞台ですが、大河と呼んでも差し支えないでしょう。

メインの主人公ら士官学校に通う少年少女たちだけでなく、彼らを取り巻く大人たちの生き様も非常に魅力的です。
それぞれの心境の描写も丁寧。

大人のSFというものを見せつけられた気分です。

★★★ Excellent!!!

序盤は奥の深い世界観を感じさせつつ登場キャラの描写は素直(特にヒロイン級?の女の子の話し方が可愛らしい)ので、読む際にはそこを追っていくのでもスルスル楽しんで読んでいけそうであり、そんな話の構成の仕方が好印象でありました。

そして戦闘シーンはこれまた個性的な戦士達の策動の巡り合いが胸を熱くします。

謎めく展開、ヒロイン級の少女達の愛らしさ、戦士達の高いスキルが伝わる戦闘描写…どれもがきちんと成立していて、高い水準で繋がっています。

この作品の中の世界が端々まで高い完成度を誇り、読んでる最中はその重厚な世界の中に、まるで自分も一員として立っているかのような臨場感を得ていました。

ハイ・レベルな世界の中に自分が居るように思わせてくれる物語というのはとても良い物です。
そしてこのセイレネス・ロンドは間違いなく皆さんにその思いを味合わせてくれるでしょう!

作中は人間だけでなく、遥か高次元的な存在の姿も見え隠れしています。しかし人間側もただ翻弄されている訳ではありません。抗って、そして己の生を精一杯全うしていきます。その姿に合わせ、読者もきっと心洗練されるかと思います!

人間側、一矢報いるか、どうだ……!?
さらなる展開が待つという第2部も開始が宣言されています。今の内にこの第1部、読んでしまいましょう!

★★★ Excellent!!!

序盤から漂う作品が持つ雰囲気に惹かれます。悲惨な体験をした主人公の前に現れた二人の歌姫。彼女達もそうですが、キャラ達がなかなかに魅力的です。

戦争モノなので若干好き嫌いはあるでしょうが……この作品は戦禍の中に居る者の心情を丁寧に書けていると思います。一見和やかな日常の中にもそういう緊張感を現せているのが凄いと思います。

じっくり時間をかけて読みたい作品です。