セイレネス・ロンド/歌姫は幻影と歌う

一式鍵

#00-プロローグ

#00-0:アウフタクト

宣言文 -type declaration statement-

 さて、始めますか。


 青年はけだるげに宣言した。縛られていた両手は、今や自由だ。青年が手を軽く振る。青年を取り押さえようとした男たちが血飛沫を上げてもんどりうった。広場の周りに立ち並ぶ家々が、連鎖的に爆発した。爆風が広場に集まっていた人々をなぎ倒す。音速を超えて飛んできたガラスが人々に突き刺さる。


 人々は逃げ惑う。とにかく青年から離れようと逃げ惑う。銃撃音が村中を跳ね回る。火薬とさび釘の臭いが広場を澱ませる。肉の焼ける臭いは、実に香ばしかった。


 青年はただひとり、逃げずに立っている赤毛の少女を見ながら言った。


「全員、死んでもらう」


 少女は唾を飲む。白く細い首がと動いた。


「なんで――」

「これはね」


 少女の問いに言葉を被せる。青年は諭すような口調で言った。


「世界平和のためなんだ」

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