第83話 単語
俺「●●●●●● ●●●●●●●● ●●●●●●●●● ●●●●●。」
俺は小型ディスプレイに向かって再起動のパスワードを声に出した。
これは高山植物の名前や仏具の名称などの四つの単語の組み合わせだ。
その言葉に小型ディスプレイをモニターしていた人工知能の紫さんが反応した。
紫さん「人工知能DEEPの再起動を開始します。」
良かった。
上手くいった。
A子が第三体育館を先に切り離したのは少し戸惑ったが。
まあ、それは良い。
とにかくA子がしびれを切らしてコックピットから出てくることが重要だ。
このコックピットは隕石の衝突でも耐えられるほどの構造になっている。
だからゼラニウムにある工具では絶対に破壊できない。
まして人間のチカラではハッチをこじ開けることは不可能だ。
そのA子が自らコックピットを出たのだから成功だ。
コックピットを出たA子は船外に出た。
彼女は第三体育館を切り離した。
A子が船外にいる隙に俺がコックピットに侵入することも考えた。
しかし第二体育館の室内カメラは生きている。
その映像を見た紫さんは船外のA子に無線で警告していただろう。
そして警戒したA子が室内に戻って俺と格闘になる。
格闘した結果は見えている。
軍事用の格闘術を身に着けたA子とバスケを少しかじった俺。
A子が船外にいる間に第二体育館の左ハッチを封鎖する案はどうだっただろう。
いや、これもマズイ。
ワイヤーを使えば左ハッチは簡単に封鎖できる。
封鎖すればA子を船外に閉め出すことが可能だ。
しかしその場合も紫さんがA子のそのことを伝える。
紫さんは後部全面ハッチを開けてA子を室内に戻してしまうだろう。
A子が船外にいる最中に再起動をかける方法はどうだったか。
これは不確定要素が多すぎる。
もしもA子が再起動がかかった場合は後部ハッチを開けるようにと指示していたら。
もしも復帰後に紫さんが船外に人がいることを知って後部ハッチを開けたら。
やはり再起動はローバーの中にA子が入ってからしかなかった。
すでにローバーのハッチはロボットアームをねじ込んで閉鎖した。
これで中からはハッチは開かなくなった。
A子が自力でローバーから出ることは無い。
俺は冷凍睡眠装置の扉を中から開けて第二体育館の床に足をつけた。
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