第63話 義妹 瑠璃
2人に散々擽られたあとご飯を食べてモニカのために玉子粥をつくって持っていくことにした。
「入るよぉ~」
部屋のドアを2度ノックしてからドアを開けて中に入るとそこには寝ているエイレーネを抱いて微笑んでいるモニカが居た。
「具合はどう? 瑠璃? 」
何故瑠璃の名前が出たのだろう?
「うん、大丈夫だよ! お義兄ちゃ…ん? 」
何故モニカがお義兄ちゃんと俺のことを呼んだのだろう?
「元気な子が産まれてよかったね♪ 」
おいっ、ちょっと待て(;-ω-)ノ話をこのまま続けるのか? ってか気づけよ俺! モニカが時折見せる横顔とか笑顔とか割りと似てたじゃん!皮膚の色が少し違うだけで…。
「なあ、もしかして気づいてないのか? 」
モニカに尋ねるとモニカは首を傾げたあと失態に気づいたのか顔を青くしている。
「えっ…と何も聞いて無かったことに出来ないかなお義兄ちゃん…」
やっぱりか…。俺は頭を抱える。
「どこをどう聞かなかったことにするんだよ…」
呆れた顔でモニカ(いや、中身は瑠璃か…)を見つめると彼女は『テヘッ』と言って舌をペロッと出して無邪気に笑いかけてきた。
「あの駄女神を明日とっちめてやる!」
「 それより、お義兄ちゃん! よく寝てるね私達の娘♪ 」
そういってモニカ(瑠璃)はニコニコしている。
「確かにこんなに大きな声を出してたのにスヤスヤ眠ってるね…。お母さんに似たんだな…瑠璃ってかなり寝起き悪いし」
そういって笑うとモニカ(瑠璃)は頬を膨らまして
「もぅ~! お義兄ちゃんのイジワル! 私そんなに寝起き悪くないもん! 」
そういって俺の胸をポカポカと可愛らしく叩いてくる。
「それよりお前もご飯を食べてゆっくり休めよ? さすがに子供を産んだあとだからガッツリ食べるなんて無理だと思うから玉子粥を作ってきたから少しでいいからコレ食べてゆっくり寝ろよ」
お粥を渡そうとすると彼女は頬を膨らまして
「お義兄ちゃんとの子供を産んだから疲れました! そういうのは食べさせてくれるんじゃないの普通」
そういってモニカ(瑠璃)は口を開ける。
「なにコレ? 子供じゃないんだから1人で食べれるでしょ? 」
そういって器をモニカ(瑠璃)に渡すと
「あ~んっ! ってするの! あっ、でもその前にフゥーってして冷ましてね♪ 」
人の話を聞いてないのか…。何かモニカ、自分が瑠璃だってことがバレてからいつものマイペースな瑠璃になってきたな…。
「とりあえず明日はあの駄女神呼んできてしっかり話そうか? 」
そういってモニカ(瑠璃)にお粥を冷まして食べさせてその日は眠りについた。
◆◇◆◇
「さてと、どういうことなのか」
翌朝、駄女神を呼びつけて話を聞くことにした。
「えっとね…、バレちゃったの? 」
そういってヴィーナスは困った顔で俺を見つめてくるけどお前より困ってるのは俺だからな! 義妹は助けられたと思って、
「お義兄ちゃんそんなにヴィーナスさんを怒らないであげて、実は私がお願いして
そういって瑠璃が俺とヴィーナスの間に割って入る。
「じゃあ何でお前が
不思議そうに尋ねるとヴィーナスが手をあげて俺を見つめてくる。
「あのねライム、実はライムが転生した時期と瑠璃が転生した時期には違いがあって、瑠璃はライムに助けてもらったあと生涯独身を貫き通して1人で寂しく人生を終わらせたの…ライムのことが好きだったから…。だから私がライムの転生時期を遅らせて
マジか! 駄女神だと思ってたのに実はスゴい奴だったのか!
「主にアルテミアが…」
俺の尊敬を返せ! やっぱりスゴいのはアルテミアさんの方だよな…。
「ごめん、創成神からの指示で何か言えなかったんだよ…」
そういってアルテミアさんが頭を下げて謝ってきた。
「いや、それなら良いんだよ! いちおう天寿を全うしたなら…」
そういって瑠璃の頭を撫でると
「エヘヘッ、お義兄ちゃんの手、温かい♥」
そういって嬉しそうに微笑んでいた。
「ねぇ私にはお礼とか頭を撫でるとか無いの? 私だって頑張ったんだよ! 」
駄女神が自分のことも誉めろと言って俺を見つめてくる。
「誤解してたみたいだ。ごめん、それとありがとう」
いちおうお礼を言っておくことにする。
「フフッ、分かればいいんだよ! 」
駄女神は胸を張って偉そうにしている。
何か腹立つ…。
「瑠璃ちゃんのこともバレちゃったし、それじゃあ戻すね! 」
アルテミアさんが瑠璃に手をかざし呪文を唱え始める。
「大丈夫か? 何をしてるんだ? 」
駄女神に聞くと駄女神は偉そうに胸を張って
「大丈夫! よーく見てて! 」
瑠璃の身体が光り始めた。
やがて光が収まるとそこには女の子の姿をした瑠璃が居た…。
「この姿で会うのは久しぶりだねお義兄ちゃん! 末長くよろしくね♪ 」
俺の顔を見て嬉しそうに瑠璃は微笑んだ。
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