第44話 ロリっ娘 魔王1
〔カンカンカン!!〕
近くに魔獣が来たことをしられる4つの鐘のうち北門の鐘が警鐘が鳴らす。
「ライムお兄ちゃん、魔獣が出たみたいだね?」
ハーブ園でリアとフィーと一緒に収穫の作業をおこなっている時にその鐘は鳴った。
「ごめんリア、今日の自警の当番が俺とスイだから途中で悪いんだけど行ってくるね🎵」
そういってスイが待っているであろう町の北門にむかうとそこにはゴスロリの服を着た幼女とメイド姿の女性がスイと対向していた。
「スイごめん、遅れた!それで・・・どういう状況?」
スイに尋ねるとスイは顔を強張らしたままで
「アニキ気づかないんですか?あの女の子ハンパない魔力と殺気ですよ・・・」
スイはそういって自分の槍を構えて幼女に襲いかかろうとする。
「ちょっと待った!俺が彼女と話すから刀傷沙汰はやめてくれ!」
スイの槍を預かり地面に置いて敵意が無いことを示し結界から外に出る。
「こんにちはお嬢さん、どうしてこちらに敵意を向けているのか教えてもらってもいいかな?」
そう話しかけると隣にいたメイド姿の女性がこちらにやって来て
「『どうして妾の領地に妾が知らぬ町が出来ているんだ!プンプン』って言ってます!」
と言って腕を組んでこちらを見つめてくる。
しかし後ろでは顔を真っ赤にして両手を挙げて怒っている。
「あの~、後ろで何か言いたそうにこっちを見て怒ってるんだけど話の内容合ってる?」
メイド姿の女性に伝えると彼女は幼女に向かって
「『プンプン』って言ってなかったですよね、すいませんでした!」
そういって俺を見て舌をペロッと出してウインクをしてくる。
主従関係ぶっ壊れてるな・・・。そう思ったのは言うまでもない。
◆◇◆◇
「それで、ここがその女の子の領地なんですか?本当に?」
改めて聞いても彼女達は頷いているだけだった。
「何か証明できる物はあるんですか?」
証拠を見せてほしいと言うと彼女はポッケに手を入れて1枚の地図を差し出してきた。
「何かなコレ?」
女の子に聞くと女の子は小さな声で
「ここが妾の領地だっていう証拠」
そういって差し出してきた地図をさらにグイっと前に突き出してきた。
「この地図のこの部分が妾の領地だ!だからここも妾の領地になんだ!」
そういって、この地図上のこの町がある辺りを指差す。
「ダメだよ🎵嘘をついたら、仮に君がこの町の土地の領主だとしてもこんなに広大な土地を治めるなんてそれこそ王様とか・・・だよね?」
もしかして、と思い幼女を見つめると
「妾は4代目魔王ヴァネッサだ!こう見えて妾は200歳だ!だから子供扱いするでない!ぶっ、無礼者!」
どうやらこの異世界の魔王だったみたいだ・・・。
「本当に魔王なの?」
後ろにいるスイに話を聞くと
「すいやせんアニキ!俺みたいな奴が魔王様の顔を見ることなんて出来ないっす!だから正直どんな奴なのか分かんないです!」
あぁ、さいですか。
「妾に許可なく町を作りおって!消し飛ばしてくれよう!」
おぃぃぃぃっ!話が極端すぎるだろうが!
どれだけ効果があるのか分からないがこの間泊めてあげた坊さんから教わった【封印】のスキルを用いて魔王ヴァネッサの魔力とお供のメイドの魔力を封印する。
「全てを焼き払うのじゃ!ファイヤー・・・・・・?あれ?どうして何も起きないんじゃ?」
ちょっと待て・・・。もしかして相当コイツ弱いんじゃないか?だってコイツ火属性最弱のファイヤーで全てを焼き払うとか言ってたよな・・・。
「あぁ、お嬢様!あやつがお嬢様の魔力を封印してしまったのです!お嬢様の魔力が使えない以上ここに残って人の生活を体験してみてはいかがでしょか?」
おい、コイツは何を言ってるんだ?
「そうだな、よし!妾がこの町に住んでやろう!」
いや、いいから!住まなくていいから!ってか何でそこでガッツポーズしてんだよメイド!こうなったらお前も巻き込んで・・・。
「そうか、そうなると2人が住める家を作らないとな・・・。まさか魔王ヴァネッサの魔力は封印出来たのにメイドの魔力は封印出来なかったなんて事は絶対に有り得ないだろうし・・・。だよなメイド?」
「そうかマリア、お前も封印されてしまったのか?それならば仕方ないイシュタル母様には後で私から連絡をしておこう!」
そういって町に入っていく。
「お嬢様!お待ちください!・・・チッ!」
おい、今コイツ舌打ちしたよな!?
とりあえず結界の中に入ったらもう1回コイツの魔力を封印して簡単に逃げられないようにしてやろう!
◆◇◆◇
「おぉ!ここがお前の建てた町か・・・。綺麗な町ではないか!」
そういってはしゃいでいる。
「ナンデワタシガ、ナンデワタシガ、コンナハズジャナカッタノニ」
お~い、怖いよ~!何後ろで呪詛を唱えているんだい?
「しかも本当に魔力を封印されちゃったし・・・イシュタル様、話が違いますよ~!」
涙目でこっちを睨んでくる・・・。
「どうしてくれるんですか!私はお嬢様を置いたら帰るはずだったのに!私の魔力まで封印しちゃうなんてひどいです!お嬢様と2人とか拷問ですか?もぉ~何なんですか!お嬢様はワガママなんですよ!ワガママ!もぉ~」
そういってガチ泣きされてしまった・・・。
そんなことになっているとは露知らずお嬢様は嬉しそうに
「おい、人間!もっと町を見て廻りたい案内してくれないか?」
そういってはしゃいでいる。
「スイごめん、あとのこと任せちゃってもいいかな?この2人に町を案内するから」
スイにあとのことを任せてもいいか確認するとスイは親指を立てて
「分かりやした!あとは任せてください!アニキ!」
そういって駐在所にある、報告書にさっきの警鐘の内容を書きに行ってしまった。
「さてと、それじゃあ町の案内を始めますか」
お嬢様とメイドに町を案内するために前に立つと
「そうだそう言えば名前をまだ聞いてなかったな・・・人間、名前は?私はヴァネッサ、それで彼女はマリアだ!よろしくな!」
ニカッと笑って手を差し出してくる。
そんなにワガママなのか?そんなことを思いながらヴァネッサの手を握り握手を交わす。
「それじゃあ行こう!」
手を握ったまま駆け出して行く。
「ちょっと待って!歩幅を合わせろって!」
するとヴァネッサは振り返りニカッと笑って
「お前が妾に合わせろ!行くぞ!」
あぁ、マリアさんが嘆いていたのはそう言うことだったのか・・・納得!
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