第41話 新たな住人と鍛治師の卵!

 帰り道、ミソラから散々説教されたのにミソラがモニカとオリヴィアに告げ口をするから…。

「ねぇライムお兄さん、私とモニカさんが言ったこと覚えてますか? 」

 あぁ、やってしまった…。俺はどうやらパンドラの箱を開けてしまった様だ…。


 正座している俺の前には今まで見たことの無い顔をしたオリヴィアが仁王立ちで俺を見下ろしている。

「ねぇ、聞こえてますかライムお兄さん💢反応が無いと言うことは覚えて無かった、ライムお兄さんは記憶力の無い大馬鹿野郎ってことでいいんですか? 」

 いや、そういうわけじゃないんだけど…。

 そう伝えようと口をモゴつかせたらオリヴィアが


「なんですか? 何か言いたい事があるんですか? アレですか覚えていたけど大丈夫だろうと思ってつい軽はずみな行動をしてしまったんですか? 馬鹿ですか? お兄さんは馬鹿なんですか? どこをどう考えて盗賊のアジトが安全で大丈夫なんですか? 本当に馬鹿野郎ですね💢お兄さんはもう立派な父親なんですよ! 少し考えれば分かるでしょ?

考えることも出来ないんですか? 」


怖い((( ;゚Д゚)))オリヴィアってこんなに怖かったんだ…。

「ごめん、本当に俺が悪かったです。もう危険な真似はしません」

「どうせそんなこと言ったってまたお兄さんが無茶するのは目に見えてます」

間髪入れずにオリヴィアが反論をしてくる。


「まぁまぁ、落ち着いてオリヴィアちゃん。ライムも反省してるんだよね? だったら許してあげようよ♪ ねっ、オリヴィアちゃん」

 モニカが助け船を出してくれた。

「うぅ~ん、モニカさんがいいって言うなら仕方ないです」


 ありがとうモニカ、助かったよ♪ と思いながら家の外に行こうとすると後ろからモニカが低く怒っているときの声音で

「ねぇライム、反省してるんだよね? だったら町の外に行かないわよね? 出ていこうとしたらミソラを含めみんなからグーパンチだからね♪ 」


 やばい、モニカも静かに怒っていた…。

「はい、分かりました! 」

 こうして俺は当分のあいだ町から外出することを禁止にさせられた…。

◆◇◆◇

「あぁ~! 暇だ、暇すぎる…」

 広場に造った噴水の縁に腰を掛けて青く晴れた空を見上げて暇だとぼやいていると町に張っている魔獣返しの結界に反応があり町の警鐘がなる。このシステムは一般的らしくよく行く街にも同じシステムがあり、警鐘がなると衛兵たちが魔獣を退治しに行くシステムになっている。


「暇だったし俺も魔獣退治に行くか…」

 そういって町のはずれに行くと

「あっ、アニキ! 魔獣なら退治しときやしたぜ! 」

 俺の暇潰しがリザードマンによって殺されていた…。


「うおぅぅぅぅっ! クソッタレ! 何で俺の暇潰し相手を殺して…。ごめん、何でもない…。それよりどうしたの? 」

 何か珍しいものを見るような目でスイが

「うおっ、どうしたんですかアニキ? 」

 と心配そうに見つめてきた。


「いろいろあったんだよ…。それよりどうしたんだよ? 」

 スイにそう尋ねると後ろからチーが出てきて

「大兄ちゃんの熱が下がったから大兄ちゃんと中兄ちゃんと一緒に盗んだ物を返しに来たんだ! 」

 そういってユキの下着を渡される。


「そっかフウ? だっけ? お兄ちゃんの風邪が治ったんだな? よかったじゃん♪ 」

 そういってチーの頭を撫でると2人の後ろからあの時、寝込んでいた大きなリザードマンが姿を現す。

「アンタがライムか? 2人が町から盗みを働いて迷惑をかけちまったみたいで申し訳ねぇ、それと俺のために風邪薬まで貰っちまったみたいで…」


 そういって頭をさげてくる。

「そんな、困ったときはお互い様だよ♪ あんまり気にするなよ! 」

 さげている頭をあげるようにいって拳を突き出す。

「スマン、恩に着る」

 そういってフウとグータッチをする。


 3人と一緒におしゃべりをしながらユキの家にむかって歩いて行く。

「そんなことがあったのかアニキも大変だな! 」

「何かスマンな…」

 スイとフウの2人と俺の奇行について説明していたら隣からチーが俺の裾を引っ張り、ベランダでマシュマロを食べているミソラを指さし

「兄ちゃん! あの白いふわふわしてるの何? 」

 と目を輝かして聞いてくる。


「あっ、このあいだの盗賊兄弟じゃん! ここに風邪治ったの? 」

 ミソラが気づいたのか、こっちにやってくる。

 チーがミソラの持つマシュマロを物欲しげに見つめているとミソラもそれに気づいたのか、チーの口元にマシュマロを持っていって『あーん、して』そういってチーにマシュマロを食べさしてあげていた。


「それじゃあ、これからユキの家に下着を返しに行くんですね? あっ、そういえば! さっき警鐘が鳴ったけど大丈夫だったの? 」

 ミソラが俺を見てくるので俺は3人(特にフウとスイ)を見ると2人(フウとスイ)は親指を立ててドヤ顔をしている。

「ちなみに魔獣は何だったの? 」

 そういえば聞き忘れてたことを思い出して聞いてみると


「ハングリーベアーでした。あっ、解体しといたので食べますか? 」

 そういってハングリーベアーの肉塊を背負っていたリュックから取り出してきた。

「ハングリーベアーを2人でですか? いくら屈強なリザードマンだからって、よく倒せたね…」

 ミソラが呆れ顔で2人を見ると、2人はそうなのか? と不思議そうにしている。


 確かに1度戦ったことはあるけど、あの時はほぼ総動員でなんとか仕留めることができた魔獣で強い印象しかない。 

「なぁ、3人に聞きたいんだけどこの町に住むつもり無いか? 」

 フウ・スイ・チーに町に住まないか提案をすることにした。強いし何かあった時に味方だと心強い。


「いいのか? 俺たちは盗みをしたんだぞ? 」

 フウが真剣にこっちを見てくるので俺も自分の気持ちをしっかり伝えなくては…。

「あぁ、それは3人を信用してるから、それにあのハングリーベアーを実質2人で倒した屈強なリザードマンに町の用心棒として住んで貰いたいってのは本当のことだし…。町の用心棒として住んでくれないか? 」

 3人は顔を見合わせて頷き拳を出してきた。


「それじゃあ契約成立かな? 」

 グータッチを4人で交わす!

「ほら、そろそろユキの家に着くわよ! 」

 ミソラが話しかけると同時にユキの店先から


「弟子にしてくださぁぁぁい!!!!! 」

 若い男の声が町に響き渡った。


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