第25話 思ってた以上に
リカリアさんの号令で山に登ること1時間
「ねぇお兄ちゃん! あれ見て! あの薬草は珍しくてブルーノースって呼ばれてて、これは青い花で北側を向いて咲くからブルーノースっていうんですよ! あれ摘んできていい? 」
リアは俺の服の裾を掴んで目を輝かしている。
「いいけど1人は危ないから俺も一緒についていくけどいいかな? 」
リアにお願いをすると
「もちろんです。それじゃあ行きましょう! 」
そういってブルーノースを摘みに行く。
「それにしてもけっこう急な登り坂だね…リアは平気? 」
隣で目を輝かしているリアに大丈夫か声をかけると
「大丈夫です! はわぁっ! あっちにあるのはオオミズツ! 早く! 早く行きましょう! 」
そういって裾を離しトテトテと登っていってしまう。
「スゴいな…」
リアのスピードに呆気に取られていると
「かっ、彼女よっぽど…ハァハァ…薬草が好きなのね…ハァハァ(;´Д`)…」
後ろからリカリアさんが息を切らして登ってくる。
「リカリアさん、大丈夫ですか? 」
後ろを振り返って声をかけると
「ダメ…おぶってお願い! 」
そういって背中に覆い被さってくる。
「いや、俺もキツいんですけど! 」
あっ、これダメなヤツだ…。
そう思った時には時既に遅し、その場で倒れ
リカリアさんに押し潰される。
「ひどい! 私そんなに重くないはずよ! そんな風にわざとらしく倒れなくたっていいじゃない! 」
そういって背中の上で跳び跳ねている。
いくら体重が重くなくても、そう跳び跳ねられたら洒落にならない…頼むどいてくれ~!
◆◇◆◇
「お兄ちゃん、これで多分これで大丈夫だと思います。まだ痛いですか? 」
リアが調合した湿布を足に貼り、関節痛に効果のある苦~いお茶を飲んで少し休憩をとる。
「それにしてもリアはスゴいね、あの急斜面をトテトテ登ってちゃうんだもん本当にスゴいよ」
そういうとリアは恥ずかしそうに
「エルフならそんなにスゴいことじゃないです。逆に薬草を見つけて周りが見えなくなっちゃて恥ずかしいところを見せてしまいました」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに手で顔を覆ってしまった。
「いや、別に恥ずかしがること無いでしょ
だってそれだけ真剣になれることがあるってことだからむしろ自分を誇るべきことだよ! 」
そういってリアの頭をつい撫でてしまう。
「あっ…」
撫でられたことに気づき顔をあげて見つめてくる。
「あっ…ごめん。つい妹と話してる感覚になっちゃって…気を悪くしちゃったなら本当にごめん」
そういって撫でていた手をリアの頭から離し謝ると
「そんなことないです。だからお兄ちゃんに撫でてもらって嬉しかったというか何というか…とりあえず嬉しかったです! だからもっとしてください! 」
そういってリアは頭を出してきた。
それを見ていたノルンお姉ちゃんが
「分かったわ、お姉ちゃんがもっと撫でてあげる」
そういってリアに抱きつきワシャワシャと頭を撫で回し始めた。
「いや、良いのかそんなことしてリアが…」
嫌がってるだろ、と言おうと思ったのだが…
ニコニコ笑って嬉しそうにしているリアがいた。
「いや、リアが良いならいいけど嫌がる様なら止めてあげてね、お姉ちゃん」
ノルンお姉ちゃんにそう伝えるとお姉ちゃんは親指を立てて
「もちろん! でも嫉妬はダメだぞ2人ともお姉ちゃんが可愛がってあげるからな♪ 」
骨だけだからどんな顔をしているのかは分からない、分からないけど絶対嬉しそうに笑っていると思った。
「ねぇライム、あとどれくらい? さすがにもう足が棒みたいなんだけど」
後ろからリカリアさんが服の裾を引っ張ってくる。
「確かに…あとどのくらいでオトギリソウが摘める場所に着く? 」
ノルンお姉ちゃんにワシャワシャされているリアにあとどのくらいで着くか聞くと
「あと2時間くらいで着くと思います。ただ摘める場所に着いてからの方が大変だと思います」
そういってノルンお姉ちゃんの腕の中で嬉しそうにホクホクしている。
「それじゃあ天候が悪くならないうちに行きましょう! 」
ミソラがそういって俺の服の裾を引っ張っているリカリアさんを押して登っていく。
「それじゃあ俺たちも行こっか! 」
リアとノルンお姉ちゃんに手を差し出すと
リアは恥ずかしそうにその手を取って立ち上がりチラチラとこっちを見つめてきた。
「何? …もしかして俺の顔に何か付いてる? 」
顔を手で払ってみるが特に何も付いてない。
「もしかしてリアちゃん、お兄ちゃんのこと好きになったゃったの? でも残念! お兄ちゃんには奥さんと赤ちゃんがいるから…残念! 」
そういってリカリアさんがリアを後ろからハグをする。
するとリアは顔を真っ赤にして
「そんなこと思ってないです! ただエルフって世間一般的に高慢ちき、潔癖症、ボッチ、関わりたくない亜人種ナンバーワンなのにライムお兄ちゃんは、そんなこと気にせず、きちんと私の目を見て会話をしてくれてるって思って…それでつい嬉しくなっちゃって…ごめんなさいです。泣くつもりは無かったんですけど…。自然に涙が溢れてきちゃいます。本当は嬉しいんですよ♪ 」
リアは泣きながら嬉しそうに微笑んでいた。
するとリアの後ろから
「そうなのよねぇ~、ライムはそういうこと一切、気にしないから…だって奥さんは人でも亜人種でもない魔人種の子だよ♪ まぁ種族何て気にしないっていう、そういうところがライムの良い所なんだけどね♪ 」
そういってノルンお姉ちゃんは苦笑いをしていた。
「あれ? 魔人種って何? モニカは自分のことを魔物って言ってたけど…? 」
不思議そうにノルンお姉ちゃんに話すとノルンお姉ちゃんは説明を始めてくれた。
「あのね弟君、魔物ってのは大きく分けて
3つに分かれてて、まず1つ目がモニカちゃんみたいな人が魔人種。もう1つが犬とか鳥みたいな魔獣種で最後が魔像物って言って石像とかのことを言ってそれの総称が魔物って言うんだよ、だから正確に言うとモニカちゃんは魔人種ってことなんだよ! ちなみにユキちゃんと私も魔人種でリアちゃんとミソラちゃんは亜人種、リカリアさんは人だよ」
そういってノルンお姉ちゃんが魔物について教えてくれた。
「でも、そんなに珍しいことなの? 」
リアに聞くと
「確かに珍しいと言えば珍しいと思います。もともと人と亜人種は祖先は同じなんですけど魔人種は昔、亜人種の王が人体実験をして生み出された対人間用の種族だったんだけど自我が目覚めて独立したのが今の形なんです。だから対人間用の種族と人であるお兄ちゃんが結婚するのは珍しいんですよね」
リアが分かりやすい様に説明をしてくれた。
「なるほど…でも、やっぱり種族とか言語とかそんなのは関係無いよ♪ 大事なのは
自分はどうしたいのか、相手は何をしたいのかを考える事だと思うよ。だから俺は自分の気持ちが思ったことをしてるだけでスゴいことなんて何も無いよ♪ だからみんなのことも守りたいって思ってるから出来ることがあれば遠慮せずに頼ってね♪ …自分の事だけど我ながら恥ずかしいことを堂々と言ってしまった…。ほら、早く行こう! 」
そういって山頂へむかう登山道を恥ずかしくなり小走りで登っていく。
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