第21話 家族が出来た日

 昨日の夜中に俺は告白してモニカと将来を誓い合った…嬉しすぎて興奮のあまりベットの中でゴロゴロしながら悶えていてまともに寝れなかった。どうやらそれはモニカも同じようで朝起きて会ったときに目の下にくまが出来ていた。

 しかし時間は待ってくれない。準備をしているとあっという間に辺りは夜の帳が降りてきていた。

「みんな準備は良い? 」

 後ろにいる4人に声をかけると


「2人こそ平気なの? 朝から眠そうにしてたけど」

 ミソラが最もらしい突っ込みをいれてくる。

「「うん大丈夫だよ! 」」

 ハモってしまった。


「本当に仲が宜しいようで…ごちそうさまです」

 ノルンお姉ちゃんは、そういって手を合わせている。

 ふとモニカを見るとモニカは顔を真っ赤にしてこっちを見ていた…。

「2人とも顔が真っ赤だよ! 」

 

ユキが笑いながらからかうようにモニカの頬っぺたをつついている。

「ほらほら、もうすぐアルタイルの巣に着くから気を引き締めて! 」

 ミソラが声をかけるとみんな真剣になって辺りは静寂に包まれる…。


「ライム、準備はいい? 」

 ミソラは俺の身体を抱き上げ羽ばたく。

「勿論、ここで決めてみせるよ! それよりあっちは大丈夫かな? 」

 下にいるモニカたちを見ながら不安そうにしていると


「大丈夫だよ! 彼女たちを信じよう。それよりきちんと仕事をしてよね! 」

 そういって後頭部に軽く頭突きで活を入れられる。

「そうだよね、まずは俺がしっかりしなくちゃな!近づこうミソラ!」

 そういってアルタイルに近づくようにお願いする。


「このぐらいの距離でいい? 」

 射位が的まで約28mってところか…あれだけ的がデカけりゃ外さない、だけど集中の糸を放すな致命傷を与えることが出来るように心臓を狙え、強い矢が放てる様に弦を引け!

「第1射いきます! 」

 神経毒の入った瓶に矢尻をくぐらせて、その矢を大鷲アルタイルにむかい放つ!


「当たった? 当たった! みんな当たったから今のうちに玉虫の回収を! ライム次! 」

 ミソラは大声で下のみんなに響くような声で当たったことを伝えると次の矢を放つように声をかけてくる。

「分かってる! 第2射、放ちます! 」

 次は失明や倦怠感を起こす紫の毒瓶に矢尻をくぐらせて矢を放つ。


「よしっ! 当たった! 」

 手応えはあった後は降りて大鷲を仕留めるだけ!

「ミソラ、お願いがある…アイツの真上に連れていってくれないかな? 」

 ミソラにお願いをすると


「何する気なの? 危険なことはさせないってモニカに約束してるのだから絶対ダメ」

 ミソラは絶対に放すまいと抱きついてくる。

「分かった、でももう少し近づいてくれる?

それと、みんな退避して! いくよ第3射! 」

 火薬と共に小さな鉄球を仕込んだ簡易的な散弾を矢と共に乱射する。

 

下の森から合図がわりにした花火が上がる。

「よしっ! 第3射いきます! 」

 散弾がついた矢を大鷲にむけて乱射する。

「いっけー! 」

 

矢は火薬と共に弾け飛び大鷲の上から無数の鉄の雨を降らす。

 鉄の雨が降るとほぼ同時に大鷲の耳をつんざく様な悲鳴と共に倒れる音がする。

「殺ったのか? 」

 ミソラが抱えて空を飛ぶなか不思議そうに首をかしげると下からモニカたちの喜ぶ声が聞こえる。


「2人とも~! やった、やったよ~! 大鷲倒せたよ~!! 」

 モニカが大きな声で大鷲を倒したことを報せてくる。

「やった! …やったよ! 私これで人柱にされなくてすむんだ! 」

 背中にいるミソラは涙をながし喜んでいた。


「ミソラ、ちょっ、ミソラ喜ぶのは良いけど落ちる落ちるから~! 」

 ミソラは嬉しすぎて周りが見えていないのか徐々に高度を落として地面に落ちていく。

◆◇◆◇

「やった! やったよ弟くん! …ってどうしたの地面に顔を擦り付けて」

 違う! 擦り付けてるんじゃない落ちてめり込んでるんだ!

「ごめん、今助けるから少し待ってて! 」

 そういってミソラは地面を掘り返している。


「プハッ…。死ぬかと思ったよ…。まさか顔が地面にめり込むなんて…」

 顔をあげて周りを見回すと4人が微笑んでくれた。

「ほら立ってライム! 早くおばば様の家に戻って大鷲を倒したことを報告しましょ! 」

 そういってモニカが手を差し出してくる。


「ありがとうモニカ! それじゃあおばば様の家に戻ろっか! 」

 モニカから差し出された手を掴んで立ち上がりおばば様の家にむかって歩き始める。

「帰るのもいいけど最初の目的を忘れてるよ! 」

 ノルンお姉ちゃんが玉虫を引き摺りながら追ってくる…。


「「「「あっ! 」」」」

 ノルンお姉ちゃん以外全員そのことを忘れていたのか同じタイミングで驚いていた。

◆◇◆◇

「それじゃあ、お休み」

 3人にお休みと挨拶をして奥の部屋に戻る。

「ふたりっきりだね…」

 隣にいるモニカが恥ずかしそうに見つめてくる。


「そうだね…でもまだその、キス以上のことは求めないようにしよ! そうしないと際限なく求めちゃうと思うから」

 そういうとモニカは

「嫌だ! 身重になってもいいから際限なく私を求めていいから私を貰ってほしい! こんなこと私から言わせないで! だから、だからお願いライムを感じさせて! 」

 恥ずかしそうに、でもしっかりとモニカ自身の気持ちを伝えてくれた。

 

これで断ったら男としてどうなんだ…女性からあんな恥ずかしい事を言わせる時点でダメなのだがここで断ったら人として最低だし甲斐性無しのクズだ…

「分かったよモニカ…そのかわりたぶん今日は寝かせないからね」

 その日、モニカと1つになり大切で愛しい家族がこの異世界で出来た日になった。



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