第20話 2人の気持ち

「それであの大鷲アルタイルに勝つ算段はついたのかい? 」

 おばば様は値踏みするような目でこちらを見つめてくる。

「まぁ勝てる算段はついたかな? 」

 そういって後ろを見ると4人ともニッコリ笑ってくれている。


「そうかい、じゃあ今日はゆっくり休みな」

 そういって奥の部屋に戻っていった。

「私たちはどの部屋を借りていいのな? 」

 ノルンお姉ちゃんがミソラに声をかけてどの部屋を使っていいか確認をしている。


「ライムはこっちの部屋を使って、それで他の子たちは私の部屋を使いましょう」

 そういってミソラは客室に俺を通して他の子たちと一緒に自分の部屋に入っていった。

 さてと、俺もゆっくり寝るためにベットに倒れ込み瞳を閉じた・・・。

◆◇◆◇

 一方そのころ、ミソラの部屋では

「ねぇ~、何でライムと同じ部屋じゃないの? 」

 ユキがミソラさんに聞いている

「弟くんはモテモテだねぇ~」

 

ノルンさんが苦笑しながら2人を見て

「モニカちゃんはいいの? 弟くんの部屋に行かなくて? 」

 ノルンさんがニヤニヤしながらこちらによってくる。

「私の気持ちはいつもライムと一緒です。だから少し離れたぐらいじゃビクともしません」

 そんなことを強がって言ってはみたものの


「寂しい・・・ライムどうしてるかな? 」

 私はフラフラ~っと部屋を出て広間に行くとそこにはおばば様が水を飲みに起きていた。

「おやおや、こんな時間にどうしたんだい?

もしかしてあの男のところに行くのかい?

やめときな好きになったのかもしれないけど相手は人だよ。すぐに飽きられて捨てられるよ、種族を越えた恋なんてあるはずがないんだから」

 そういっておばば様は部屋に戻っていってしまった。


「まったくおばあちゃんは…ごめんねモニカさん、おばあちゃんあんなこと言ってるけど本当は貴方たちの事を心配してるんだよ…」

 そこに偶然話を聞いていたのかミソラさんが謝ってくる。

「いえ、大丈夫です。ライムはそんな風に私たちの事を思ってないって信じてますから♪ 」

 そういって私はお手洗いにむかった。

◆◇◆◇

 今は何時だ? ベットに倒れ込んで何時間経ったんだろう…。

 そんな事を思いながら部屋を出て水を飲みに広間にむかうとそこにはミソラがいた。

「おはよう? どうしたのこんな夜中に? 」

 ミソラに話しかけるとミソラはくすくす笑って見つめてきた。


「えっ、何か変? 」

 髪の毛の触って寝癖がついてないか確認をする。

「ううん、噂をすれば現れたから…それじゃあお休み~」

 そういってミソラは部屋に戻っていった。

 

何の噂をされていたのか気になるがとりあえず水瓶にある水をコップに注ぎ一息ついているとお手洗いの方から水を流す音がした。

 1人でボーッとしているとさっきのモニカとの事を思い出してしまう。

「俺の答えはもうとっくに決まってる…だけどモニカが受けとめてくれるのかがきっと心配なんだろうなぁ…」

 1人ため息をついて考えていると後ろで気配がしたので振り返るとそこにはモニカが不安そうにこちらを見つめていた。

「いつからそこにいたの?」

 

モニカに聞くと少し困った顔をして

「最初から最後まで聞いてました。それで答えは決まってるって言ってましたけど今聞かせてもらうことは出来ますか? 」

 今にも消えそうな声でモニカが聞いてきた。

「言葉にするのは恥ずかしいから行動で示すね…」

 

そういってモニカの前に立ち目を瞑るようにお願いをする。

「こっ、これでいいかな? 」

 モニカが少し不安そうに聞いてくる。

「うん、俺も初めてだからよく分からないけどそれで良いと思う…それじゃあモニカ、大好きだよ…」

 

チュッ…。

 モニカの唇に唇を重ね合わせる。

「しちゃいましたねキス…もう無かったことになんかできないからね♪ 他種族だけど私で良かったんだよね? これ夢じゃないよね?

私、嬉しくて涙が止まらない。夢じゃないって教えて。この涙を止めてライム」

 そういってモニカはもう1度目を瞑った。


「何度だって教えるよ、これは夢なんかじゃないって…大好きだよモニカ♪ 」

 そういってモニカの唇に長く深いキスをした。

◆◇◆◇

「フフッ♪ 夢じゃないんだライムとキスしちゃった♪ ライムも私のこと好きで私の片思いじゃなかったんだ…フフッ♪ ねぇ~ライム」

 モニカは隣で嬉しそうに笑って腕にしがみついている。

「うん、夢なんかじゃないよ。本当にあったことだよ…。でも良かった前に進むことが出来て…。モニカに気持ちを伝えてもし関係が壊れたらって思ったら前に進めなかったんだけどモニカが俺の独り言を聞いてて逃げ道を塞いでくれたおかげで腹をくくれて気持ちを伝えて1歩前進出来て…本当に良かった」

 ため息を1つ吐き全身の力が抜けていく。


「それは私も同じだよ♪ 思い出すと嬉しくて涙が出てきちゃう」

 モニカは涙ぐみながら嬉しそうに微笑んでくる。

「ねぇライム、今日一緒に寝てもいい? 」

 肩に頭を寄りかかりながらモニカは顔を見上げてくる。


「家が出来るまでそれは待ってもらえる? 家が出来る前に身重にしたくないし…」

 そういうとモニカは恥ずかしそうに笑って

「私も今日一緒に寝たら求めすぎちゃうかもしれないですね♪ じゃあ寝る前にもう1度だけキスしてください」

 隣で目を瞑って顔をあげてくる。


「うん、お休み」

 そういって長く深いキスをした。

 目を開けて見つめ合っているとモニカの背後に3人の顔があった…。

「いっ、いつから見てたの? 」

 モニカも気づいたのか顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。


「えっ、えーと…「ねぇライム、今日一緒に寝てもいい? 」から「いっ、いつから見てたの? 」ってところまでかな? 」

 ノルンお姉ちゃんが苦笑いをしている。

「モニカだけズルい、ウチも側室なんだから正妻がキスしたんだからウチもいいよね? ライムがどう思ってくれてるか分からないけどウチは好きだよ♪ 」

 そういってユキも唇にキスをしてきた。

 少し驚いてモニカを見ると少し悔しそうに頷いて


「そういう約束だしライムのみんなに優しいところも好きだから…でも正妻は私だからね♪ 気持ちは一緒って分かったし…でも最初に可愛がって貰うのは私だからね♪ 」

 そういってモニカは勝ち誇ったように笑っていた。

「じゃあ2人の気持ちが繋がった事が分かったところで明日に備えて早く寝ましょ♪ 」

 ミソラの言葉を聞いて、みんな頷き部屋に戻っていく大切な人が出来たのを実感しながら…。




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