第19話 貸し切り風呂で作戦会議
部屋の掃除を終えてちゃんとした割合で火薬を調合したので真っ黒になった身体を洗おうという話になって温泉を貸しきりおばば様と話をしていたノルンも含めた4人とミソラの5人で温泉に入ることになってしまった…。
「ライムまだ来ないの~? 早くぅ~! 」
ユキが扉の外で声をかけてくる。
(おかしいだろ! 異性に対しての抵抗がまったく無い! )
そんなことを考えていると腕をギュッと抱きつかれ・・・
「早く中に行きましょう♪ 」
タオル1枚のモニカが胸を押し当ててくる。
モニカは着痩せするタイプなのか思っていた以上に胸が大きく思わず見いってしまう。
「ちょっ、ちょっとライム、そんなにマジマジと見ないでよ! 恥ずかしいじゃん」
(押し当ててくるのはOKでも見られるのはダメなのか? 基準がワカンナイ…)
そんなことを考えていると「恥ずかしいです! 」と言ってモニカは後ろに回り込み背中に抱きついてきた。
「ちょっ、モニカ分かったから離れて、それ以上張り付かれると理性を保ったままでいられるか自信がない」
そういうとモニカはくっついたまま
「別にいいよ♪ ライムになら私なにされても・・・」
そういって背中に張り付かれたまま時間が止まったかのように感じていると
「2人ともそこでイチャついてないで早く温泉に入ったらどうですか? 」
背後からミソラがイライラしながら声をかけてきた。
「「いつからそこにいたの!! 」」
2人とも後ろを振り返ってミソラを見ると
「お前は見るなぁ~! 」と追い出されたのは言うまでもない。
◆◇◆◇
「ライム~! 温かいね♪ 」
「ライム、さっきはライムのこと考えてなかった…ごめん。でも中途半端は嫌! だから家が出来たら返事を聞かせて、それまで待ってるから」
両脇をモニカとユキに挟まれて両手に花の状況なんだけどノルンとミソラからの視線が痛い・・・。
「それでライム、どうやって大鷲を倒すの? 」
ミソラがどうやって大鷲と戦うつもりなのか聞いてきた。
「まず始めにバレない位置まで近づいて、さっき調合した身体を麻痺させる神経毒と失明や倦怠感を引き起こす毒、2種類の毒を塗った矢を大鷲に当てて錯乱しているあいだに玉虫の死骸の回収と煤だらけになりながらも調合した火薬を使って大鷲を倒す、そうすればミソラも助けることが出来るよね? 」
4人に確認するとモニカ以外は頷いていて納得をしてくれた。
「モニカは頷いてくれないけど今の作戦はダメかな? 」
不思議そうにモニカに話しかけるとモニカは頷いて
「ダメ! 今の作戦じゃライムに負担をかけすぎです! 私たちも手伝います! 」
そういって頑なに頷いてくれない。
「じゃあ違う作戦を一緒に考えてほしいのだけどいいかな? 」
4人を見つめると4人とも頷いてくれた。
「じゃあ改めて考えるけどこの2種類の毒を使うことは確定だけど他をどうするかを考えないとだよね…」
1度湯船から上がり身体を洗いながら何か策がないか考える。
「じゃあさライム、闇に紛れて大鷲を攻撃して倒す! どうこの作戦?」
ユキがフフン! と胸を張ってドヤ顔をしている。
「何か普通だよね…。でも確かに相手は鳥だから夜に奇襲を仕掛けるのは賛成」
ミソラを含め全員が頷いてくれた。
「じゃあ基本は夜に奇襲を仕掛ける方針でいいかな? 他には何かある? 」
さらに意見を求めるとモニカが
「ミソラさんが弓を射るライムと一緒に上空から毒を塗った矢を射るってのはどうですか? 」
さりげなく後ろについてきていたモニカはいつのまにか背中を流してくれていた。
「何かさりげないよね、貴方たちって…それで私がライムを連れて飛んで上空からライムが矢を射るのを手伝えばいいのね? 良いわよ、今回はその作戦乗ったげる! 」
ミソラが呆れながらもモニカが考えた作戦に乗ってくれた。
「ライム、前も洗う? 」
背中を洗い終えたモニカが聞いてくる。
「いや、さすがにそれはね…。代わりにやってくれたお礼に俺にもモニカの背中を洗わせて」
そういってモニカの後ろに行きモニカの背中を洗う。
「モニカだけズルい! ウチも洗ってライム! 」
そういってユキも湯船を上がりこちらにやって来た。
「それじゃあ私もお願いしようかな? 」
ノルンお姉ちゃんも湯船から上がりこちらにやって来た。
「じゃあ、みんなで背中を流しあおっか」
そういって丸くなり両隣にはそれぞれモニカとユキが対角線にはノルンお姉ちゃんが座りそれぞれの背中を流していく。
「本当に仲良いわよね、貴方たち…。良いなぁ~そういうの」
ミソラが羨ましそうに見ていたのでミソラの手を取って
「モニカごめん後で必ず埋め合わせするから」
そういって俺とモニカのあいだにミソラを入れて俺はミソラの背中を洗い始めた。
「そんな! 大丈夫、大丈夫だから! 2人の仲を悪くさせたくないし…いいわよやらないで! だから止めてってば! 」
ミソラは背中に生えている翼をバタバタさせて暴れている。
「ミソラさん、しっかり洗ってもらってください、臭いがついてたら大鷲にバレちゃいますからね! それにこんなことでライムと仲が悪くなるなんて絶対にあり得ないですからだから安心してきちんと洗ってもらってください」
そういってモニカはこちらを振り返り笑っていた。
◆◇◆◇
「もう、誰にでも優しすぎ! でも、そんなところも好きなんだけどね、ねぇライム…キスして…。ダメ…かな? 」
おばば様の家への帰り道、手を繋いできたモニカがキスを求めてきた。
「ダメってわけじゃないけど…モニカは俺で良いの? 俺がモニカのファーストキス貰ちゃって…」
繋いできた手を握り返しモニカに確認をする。
「勿論だよ、ライムだから貰ってほしいし
あげる事が出来るんだよ♪ それにファーストキスなのはライムもだよね? 」
モニカは不安そうにこちらを見つめてきた。
「もちろん俺も初めてだよ…。分かった、それじゃあモニカ、目を瞑って…」
モニカは目を瞑って顔をあげてキスを待っている。
心臓がバクバクして脈が速くなる…。
覚悟を決めてモニカの唇に唇を重ねようとした時…。
「ライム~おばあちゃんが呼んでるから早く来て~!」
近くでミソラの声がする。
「せっかく良いムードだったのに茶々が入っちゃったね♪ いいよ行って、ライムが本気だったのも分かったから・・・返事、期待して待ってるからね♪ ほら行こっ! 」
そういってモニカは嬉しそうに笑って俺の手を引いておばば様の家へ一緒にむかっていく
「大好きだよモニカ、この異世界で初めて会った相手が本当に君で良かった今ならきちんと言えるよモニカ、君の事が1人の女性として本当に大好きです」
小さな声で手を引っ張るモニカの背中にそっと伝えた。
「何か言ったライム? 」
「手の繋ぎ方はこっちがいいなって思って」
そういってモニカの手を恋人繋ぎで繋ぎ直す
「不意討ちはズルいです」
2人とも顔を真っ赤にしながらおばば様の家へ歩みを速めた。
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