第17話 ひとりはみんなのために奔走する

【名前】ライム【性別】男【年齢】17歳

【ジョブ】冒険者【スキル】意志疎通

 弓術 薬剤調合師 基礎魔法 魅力 罠師

【基礎能力】

 力【C】俊敏【A】耐久性【C】

 器用さ【SS】運【SS】魔力【B+】

【スキルポイント】

 残り200ポイント内177ポイントはボーナスポイント。

 

 新たに手に入れていたスキルに残っているスキルポイントを割り振って上限限界まで上げる。

 アクションスキルで様々な弓矢を放てる様になり罠師や薬剤調合師のスキルで補助も出来る、さらに基礎魔法を覚えたことで魔力も微量だが上昇して火、水、雷の基礎魔法が唱えられる様になった。

 ◆◇◆◇

「ねぇライム、本当に安請け合いしちゃってよかったの? 」

 後ろからモニカが確認をしてくる。

「さすがにあんなに泣かれちゃったら断りづらいし…それにその大鷲アルタイルとは遅かれ早かれ戦わなくちゃいけない相手だと思うから…だからここで絶対にアルタイルを仕留めるよ!」

 モニカに拳を突き出すと


「お人好し、でもそうですね! 絶対に勝ちましょう! 」

 そういって突き出した拳に拳を合わせてきた。

「あぁ~2人とも何やってるの? ウチも~」

 そういってユキも拳を合わせてくる。

「それじゃあ私も! 」

 

 ノルンお姉ちゃんも拳を突き出してくる。

「それじゃあ頑張って倒しにいこうか! 」

 そういって手のひらを頭上でパァンっと合わせる。

「それじゃあ今日はゆっくり休ませてもらって明日改めておばば様にアルタイルの巣の場所を聞こう! それじゃ解散! 」

 

 そういってミソラから聞いていた温泉にむかって歩いていく。

 ◆◇◆◇

 なんか珍しいなこんな崖にあるんだなぁ~。温泉…。

 不思議そうに辺りを見回していると周りから好奇な視線を感じる。

「何か見られてる感じがする…気のせいかな? 」

 辺りを見回してもこちらを見ている人はいない。


「さてと、それじゃあ風呂に入ろう」

 脱衣場にむかい服を脱ぎ始める。

「にしても、誰もいないなんて不思議だな?

おばば様の家からここまで歩いて来たけど誰にも会わなかったな…」

 服が脱ぎ終わり籠に入れて暖簾をくぐり湯船にむかう。湯船には既に先客がいた。


「すいません、ご一緒させていただきます。いゃ~それにしてもこんな崖に温泉があるなんて思わなかったです! それにここにくるまで誰にも会わなかったんですけど何かお祭りでもあったんですか? 」

 湯船に入り先客の方にむかっていくと

「あら、そうなの? じゃあ私が初めての女なのね、よかった…それじゃあ遠慮なく私が頂いちゃいますね♪ 」

 

えっ…ちょっ、ちょっと待て! 私って言った? 何で女性がいるの? それにさっきの頂いちゃいますね♪ ってどういうこと? …恐い恐すぎる、俺の第6感が危険を知らせてくる…。

 その場で反転して脱衣場にむかう。

「あらぁ~? 逃げちゃダメよ待ちなさい! 」

 後ろにある湯船から上がってくる音がする。

 

ヤバい早く逃げなきゃ…。

 必死に足を動かして脱衣場に入ろうとすると扉の向こう側からミソラの声がする。

「何で? 何でミソラがそこにいるの? どうなってるの? 」

 頭の中で整理がつかず扉の前でオロオロしていると湯船の方からヒタヒタと水が滴る音と共に女性が近づいてくる音がする。

 

恐い恐すぎる!!

 ガラァッ…

 脱衣場の扉が開く音がする。

「えっ、ちょっと何やってるの? 」

 

声のする方向を見るとそこにはタオル1枚のミソラの姿があった。

「あら? ミソラ、ちょっとそこの男の子を捕まえてくれる? 」

 後ろから女性の声が聞こえる。

 ミソラまで敵になるのはマズイ! そう思って

 

ミソラの足にすがりながら

「お願いミソラ助けて! 恐いマジで恐い!

ミソラしか頼れない! お願い助けて! 」と必死に頼み込む。

「ちょっ、ちょっと裸なのに抱きついてこないでよ! ちょっ、ちょっと何こっち見て笑ってるのよ! ライムもいい加減、足から離れて! 」

 顔を真っ赤にしてミソラは俺と後ろから迫ってくるお姉さんに対して怒っていた。

◆◇◆◇

「落ち着いた? 」

 隣でミソラがそう聞いてくるが落ち着けるはずがない! だって隣にタオル1枚のミソラがいるんだもの!

「いや、ちょっと無理」

 

正直にそう伝えると

「ごめん、きちんと説明してなかった私が悪かった。あのねライム実は、私たちセイレーンは女性しかいない種族なの、だから男性に目がなくて…だからライムを繁殖するための道具にしようとしたんだと思う…。本当にごめん」

 

ミソラが隣で温泉に浸かりながら謝ってきた。

「いや、そういう意味の無理じゃなくて今の状況に落ち着かないというか…ミソラはタオル1枚で俺の隣にいて平気なの? 」

 隣にいるミソラを見ると温泉に入っているのかそれとも恥ずかしいのか顔が真っ赤になっていた。

「何で考えないようにしてたのにそんなこと言うのバカ! 」

 

お湯の中で太股をつねってきた。

「痛い、痛いから! あっ、そういえばこの集落で調合用の素材を買いたいんだけど、どこかにそういった素材を売ってる場所ってある? 」

 ミソラにそういった場所が無いか聞くと

「あるにはあるんだけど…品揃え悪いわよ? 」

 

残念そうな顔でミソラはそう答えてくれた。

「じゃあ近場でこの調合素材って手にはいるかな? 」

 ミソラに聞くと

「崖にある集落だからなぁ~階段を降りればあるんだけど…」

 

ミソラは頬を掻きながら苦笑いをしている。

「そっか分かった、ありがとう」

 そういって立ち上がり脱衣場で服を着て階段にむかっていく。

◆◇◆◇

「どこ行くんですか? 」

 階段の前でモニカがこちらを見て不思議そうに尋ねてきた。

「階段を降りて調合素材を採取してこようと思って、それじゃあ行ってくる」

 そういって階段を降りようとすると


「1人より2人ですよ♪ 私もついていきます♪ 」

 そういって腕を組んできた。

「もっと私のことを頼ってください! それでは行きましょう! 」

 モニカと2人で階段を降りていくことにする。


「ちなみにどんなものを採取してくる予定なんですか? 」

 モニカが首を傾げて聞いてきた。

「うーん、基本的には薬剤調合の素材と罠を作るための素材かな…少しでもみんなに楽をさせたいしね♪ 」

 そういってモニカの手を握ると


「それは私も同じですよ♪ 一緒に頑張りましょ! 」

 そういってモニカは手を握り返してくれた。

「そうだね、一緒に頑張ろう! 」

 死ぬ前の世界では瑠璃や義父・義母に似たような事を言われて、こっちではモニカ達に1人じゃないということを改めて認識させてもらった…だからこそみんながケガをしないためにも頑張ろうと思った。








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