第一志望、AV女優

作者 我有一徹

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★★★ Excellent!!!

面白かったです。
主人公が、周囲の脇役に影響され、精神的な成長を遂げていく様子が丁寧に描写されています。その辺は他のレビュアーの評価に譲ります。
本作品を読みながら、日本昔話の「大きな葛籠、小さな葛籠」を思い出しました。
貧乏だが働き者の夫婦がセッセと小銭を二段積みの葛籠に貯めるのですが、鼠が上段葛籠の底と下段葛籠の天井に穴を開けていたので、小銭は下段に溢れ落ちてしまう。夫婦は「中々貯まらないね」と怪訝に思いながらも、働き続け、想定外に早く財産を貯められたと言う話。
作品の構成が二段葛籠構造です。但し、入っている物が違う。前半と後半のどちらを好むか、は読者次第。私は後半が好きです。前半も気に入りましたが…。でも、ビーズログ文庫には合わなかったかもしれませんね。作者がヒヨらなかった事に声援を送ります。
作中の"随筆的人生"と"物語的人生"の喩えは面白いと思いました。

★★★ Excellent!!!

え? え? え?
という間に引き摺り込まれ、どっぷりと漬かってしまっていました。
タイトルで敬遠した人は惜しいことしてるなと思います。
凄い……タイトルですが、エロシーンもないですし、大胆な下着が出てくるくらいであとは爽やかでした。
女子高生たちの友情だとか、先生たちの葛藤だとか、親子の絆であるとか、そういった非常に人間的な面も深く掘り下げてあり、うんうんとうなずいてしまったり、心配になってしまったり、結構気持ちの面で振り回されました。

(個人的には「あとがき」が無い方が余韻に浸れて良かったかな~と思いました)

★★★ Excellent!!!

キャラクターの心理描写が秀逸。
学校の夕景で交わされる登場人物それぞれの本気。
まだ何者でもない、でも本当は自分のことを深く知りたい、そのきっかけを自分で作ることができない主人公。

三者面談の折、清水優美は“高校卒業後はAV女優になる”と切り出します。
担任の小林(通称こば担)は、学校側より優美の進路指導を命じられます。
社会に対しても、家庭の中でも、学校の中でも表現場所がなく、不安定な心のまま体だけを武器にして折り合いをつける優美へ、自らの信条を以て本気でぶつかる小林...という始まり。

この作品は作者の方がビーズログ文庫×カクヨム恋愛小説コンテストに応募したもので、当時「はっとしてきゅんとする」というテーマに悩んだそうですが、作者なりの“はっとしてきゅんとする”瞬間の描き方は、切なさに端を発するカタルシスがあり心地よいです。

最後、主人公最大の一つのテーマに物語が集約されていく瞬間、家族・先生・友人、それぞれの伏線も加速し、一人の高校生の世界だったはずが壮大な群像劇になります(という気持ちに読者がなっているはず)。

タイトルだけで判断したアナタ! そりゃもったいないよ!

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=カクヨム運営 H.S)

★★★ Excellent!!!

高校生3年生。子供から大人へと心も体も成長し、子供と大人が混在する難しい時期、複雑な家庭の事情から、不安定な心を満たすことができずに、人に求められることを求めて一足早く少しあやうい大人の世界へと歩みを進めていくヒロイン。居場所のあまりない学校で、進路希望に対し彼女の見出した生きる居場所は……。
人を好きになることや愛する人と愛を交わすことは本来自然なことで、そこに自分の将来の幸せを探そうとすることも極めて自然なことなのに、頭でっかちになってしまった現代社会ではそれと自然に向き合うことが難しくなっている。理性や欲望といった大人になるにつれ大きくなっていく感情とどう折り合いをつけるかを学ぶことは、大人への階段として必要なこと。でも、だからといって高校で教えてくれる勉強でもないし、あるいは学校の先生すらよく分からない問題だったりする。
ヒロインも友達もそして教師たちもいろいろと悩んで考えて学んで成長して、そして気づかって支えて。

ちょっと尻込みしそうになるくらい刺激的なタイトルですが、ナイーブな問題に正面から取り組む硬派なそして惑わされるくらい人間臭い作品です。

以上第17話まで読んだレビューです。連載中となっていますが一つのストーリーとしてはかなり完成に近いのだと思われます。