1-4-2 真名?ナビー工房?

 とりあえずこの子の仲間の狼だけは避けて、オークの本拠地周辺を回って狩ることにする。

 経験値は良いだろうが、人を襲わない賢い狼を狩るのは忍びないし、この子の家族かも知れないものを狩るのは俺的にありえない。俺がこの子を連れてるのを見たら襲ってくる可能性は高い。狼のテリトリーを避けるのが無難だろう。



 移動を始めてすぐに、服の中でスヤスヤと眠り始めた。どうやら俺の歩く揺れが心地良いようだ。

 俺の個人香の効果もあるのだろう、よく眠っている。



 今、MAPに兎の反応があったので向っているところだ。繁殖地のようで結構群れている。

 ホーンラビットという角のある兎だそうで、下級魔獣なのだがオーク並みの強さがあり、大きさも1mぐらいある大きな兎のようだ。肉も美味しく毛皮も高く売れるようで、出来るだけ綺麗に狩れとのナビーの指示だ。料理部にお土産として持って帰れば喜ばれそうだ。


 いた! 白い兎だ。モコモコで可愛い。ちょっと狩るのを躊躇われる。


『……マスター、見た目は可愛いですが。オーク並みの強さはあるのです。油断するとお腹に穴が開きますよ? 角でズンッて一突きです。この兎は11月~3月頃までの間は冬毛の白に毛が生え代わって毛皮が高く売れるのです。この時期には食い溜めもしますので脂がのって肉も美味しいので狙い目ですね』


『分かった。気を引き締めて刺されないように狩るよ』


 気配を殺しそっと近づく。兎との距離が10mを切った時点で急に2足で立ち上がったかと思うと鼻をヒクヒク、耳をピコピコやって警戒モードの姿勢を見せる。超可愛い! 思わずナビーに動画撮影依頼をしてしまった。それがまずかった。こっちに視線を向けて目が合ったかと思った瞬間あっと思う間もなく逃げたのだ……脱兎の如しとはよく言ったものだ。


『何も言うな! 分かってる……次は逃がさない!』


 なぜかナビーに小馬鹿にされた気配がして先に言葉を制した。

 それからも3連続で逃げられた。


『ナビー先生、どうやったら捕獲できるか教えてください』

『……傷つけたらいけないと魔法を控えるからダメなのです。オークと同じようにすればいいのですよ。毛皮にダメージがないような初級のサンダー系を頭に落とし、筋硬縮中に一気に近づいて仕留めるのです。冒険者などは投げナイフとかを使う人もいますが、毛皮が傷つくのであんなのはダメですけどね』


『なるほど、魔法で仕留めたら傷めると思っていたのがそもそも間違いだったのか、傷つかないように威力調整して使えばいいんだな。よし、やってみる』


 同じように近づき、雷の硬直中に辿り着ける距離まで接近出来た瞬間【サンダースピア】Lv3を落とす。

 雷で硬直中に一足飛びで移動して首を薙ぐ。成功だ!


『……お見事です! マスター、工房で血抜きと剥ぎ取りを行っても良いでしょうか?』

『調理工房か……じゃあ、お願いしようかな』


『……工房内のアバターたちも解体作業は初めてなので最初は下手だと思われますが宜しいですか?』

『ああ、俺と人形はリンクしていて、いろいろ関連している俺のスキル熟練度も上がるんだよな?』


『……はい、なのでどんどん仕事をさせた方が良いのです』

『分かった、魔獣を狩ってAPを稼いだらもう少し工房内を充実させるよ』


『……工房が拡張されればナビーも暇つぶしができるので宜しくお願いしますね』


 その後もさっきの調子で兎を狩っていく。


『ナビー、MAPにスタンプボアと出たがこれはどんな魔獣だ?』

『……猪ですね。前回狩ったのは普通の猪です。スタンプボアは魔獣ですので体内に魔石を有しています。前回の猪よりかなり美味しいとの評判です。オークの上位種並みの美味しさだそうです。是非狩っていくべきですね。ただオーク10頭より強いので突進攻撃だけには気を付けてください。中途半端に躱すと、すれ違いざまに牙でザックリやってきます』


『分かった、美味しいなら狩るか。そういえばフィリアが言ってた強い猪ってこいつのことか。女子寮組も前回狩ったあの半身をもう食ったらしいからな。50kgはあったと思うんだけど?』


『……体育館と教員棟から12人女子を呼び振舞ったようですね。全員を呼ぶほど量もなく、料理部の頂き物ということもあって女子寮内部と招待された女子で秘密にしているようです』


『それでまた狩りに連れて行けと言ってるのか。振舞って良い顔するのはいいが、俺を当てにされるのは嫌だな。ちゃんと索敵スキルを習得すれば誰でも見つけられるんだから、頑張って食い扶持ぐらいは当てにしないで自分で狩ってほしいものだ。それに呼ばれなかった者に知れてしまった時に嫌な気分になるだろうし、そういう人を選ぶのは感心しないな』




 ゲッ! デカい! 500kg級だ!


『デカいな……本当に旨いのかな?』

『……雌のようですし、茜の言を信じるなら美味しいはずです。これも血抜き、剥ぎ取り、冷却、熟成までやっておきますので頑張って狩ってください』


 こいつは【ウィンダラカッター】2発で首が落せて意外と楽に狩れた。


『……本来もっと手古摺るのですけど【ホーミング】が優秀ですからね』

『あれ? 従魔にしてるのに、こいつレベルが上がっていない。ナビーどうしてだ?』


『……あ! 名前がないからのようです。死にかけていたので強引に従魔契約していますが、どうも仮契約のようなもので、正式にマスターと繋がっていないみたいですね。なのでマスターが狩った分の経験値がその子に入っていないようです』


『正式に名前を付けろってことか?』

『……そのようです。その付けた名が真名となり、正式に従魔として契約されるようです』


『もう、この際「シロ」でいいか?』

『……従魔の真名は一生ものなのですよ? ペットならいくらでも名前の変更は可能でしょうけど、フェンリルまで進化させる気なら永久的な名前になるのですよ。幾らなんでも安易で可哀想じゃないですか? ナビーのような素敵な名を考えてあげてください』


『分かったよ。ん~~~~~あっ! 「ハティ」はどうだ?』

『……北欧神話ですか? でもその子、女の子ですよ? ハティというのはフェンリルの息子って言われてませんか? それに古ノルド語で「憎しみ」・「敵」を意味するそうです。なんか不気味じゃないですか?』


『神話なんか殆ど眉唾物だし、捨て子でも親や仲間を憎んだり敵視しないように育ててやろうという俺の親心的な意志や覚悟みたいなもんだから、別にこれでいいんだよ。響き自体は可愛いだろ? 「ハティ」って女の子っぽい響きだと思うぞ?』


『……確かに呼んでみたら可愛い響きですね。あ! 「ハティ」で登録されちゃったようですよ? ユグドラシルがどうやらその名で認証したようです』


『じゃあ、もう決定だな。俺は気に入っているから「ハティ」でいいや』


 子狼がどうやら起きたようで俺の襟元からひょっこり顔を出して俺を見上げ尻尾をぶんぶん振っている。服の中で地肌に直接尻尾がふぁさふぁさ振られるのでお腹周りがくすぐった気持ちいい。


『……あ、起きたのはトイレのようです!』

『あぅ! おしっこはまだするなよ!』


 慌てて服から出して地面に置くと、チョロチョロと排尿する。

 終えたので抱えて【クリーン】を掛けてやると、嬉しそうに尻尾を振ってくる。

 こいつ生まれたばかりなのにあまり泣かない。普通は生後1日なら目も開いていず、子猫のようにお乳を求めてミャーミャー泣くのだ。泣かないのはちょっと心配だな。


『……確かに変ですね。その子の兄姉たちは倍ほどあり、まだ目は開いていないし首も据わっていません。母親のお乳に群がってミャーミャー鳴いています』


『兄妹は何匹いるんだ?』

『……その子以外に4匹ですね。オスが3匹メスが1匹です。ハティが末っ子ですね』


 抱っこされて嬉しそうに尻尾を振っている子狼に話し掛ける。


「お前の名前は今から『ハティ』だ、頑張ってフェンリルになって俺と一緒にフィリアを助けてやろうな?」


「ミャン!」

「こいつ今、返事したのか? めっちゃ可愛い声で鳴いたぞ!」


『……可愛いのは分かりますが、マスターまた時間取り過ぎると日が暮れちゃいますよ?』

『おっと、このモフモフはヤバいな。時を忘れてしまう……』



 キングのいる洞窟の周囲には小さなコロニーが2kmぐらいの間隔で点在しているようだ。50~200頭の規模のコロニーがいくつかある。俺は100頭以上のコロニー付近に地点登録を付けて回っている。後でテレポでB・C班を連れて狩りに来るつもりなのだ。


 そして今、目の前にあるのは30頭ほどの規模の小コロニーだ。まだできて新しいのだろう。


 この規模のものはテレポのMP消費量が多いのを考えれば俺が今狩った方が良いと判断した。

 AP稼ぎとハティのレベル上げの為に皆殺しだ。念のためにハティにも各種バフを施しておく。


『今現在溜まっているAPで、ハティのレベルアップ時の増量系をMAXまで全部行けるか?』

『……いえ、足らないですね。そこの30頭を倒してしまえばお釣りが来ますが。どうします?』


『【獲得経験値増量】【獲得AP増量】【獲得MP増量】を優先に頼む、その後に【獲得HP増量】のレベルを上げる』


『……全て使ってこうしましたがよろしいですか? 【獲得経験値増量】Lv10【獲得AP増量】Lv10【獲得MP増量】Lv3【獲得HP増量】Lv1』


『ああ、これでいい。フィリアや菜奈の分のAPもキープしないといけないけど、初期のレベルアップブーストは大事だからな』 




 サクッと狩るとしますかね。


 昼食後も小規模コロニーをメインに、大きめのコロニーは地点登録を行いながら狩りまわった。


 ほぼ1日ずっと狩りに充てたのでAPも大分溜まったし、ハティのレベルも13まで上がっている。

 工房も新たに増やし、現在こんな感じになっている。  



 【小鳥遊龍馬】

  HP:3976

  MP:5288

  レベル:23

  種族:人族

  性別:男

  年齢:15

  職業:1st:魔法騎士 2nd:大賢者


  攻撃力:3986

  防御力:3327

  敏捷力:3276

   知力:3828

  精神力:2933

    運:3871

   魅力:3317


   SP:3398

   AP:1726


 《スキル》

  上級魔法

    火属性:【ファイアガボール】Lv10【ファイアガスピア】Lv10

        【ファイアガウォール】Lv10

    水属性:【アクアガボール】Lv10【アクアガスピア】Lv10

        【アクアガカッター】Lv10

        【アクアガヒール】Lv10【アクアガキュアー】Lv10

    風属性:【ウィンダガボール】Lv10【ウィンダガウォール】Lv10

        【ウィンダガスピア】Lv10【ウィンダガカッター】Lv10

    雷属性:【サンダガボール】Lv10【サンダガスピア】Lv10

    土属性:【ストーンガボール】Lv10【ストーンガバレッタ】Lv10

        【ストーンガスピア】Lv10

    聖属性:【神聖回復】Lv10【毒除去】Lv10【ホーリー】Lv10

    闇属性:【ヘイスガ】Lv5【レビテガ】



  中級魔法

    火属性:【ファイアラボール】Lv10【ファイアラスピア】Lv10

        【ファイアラウォール】Lv10

    水属性:【アクアラボール】Lv10【アクアラウォール】Lv10

        【アクアラスピア】Lv10【アクアラカッター】Lv10

        【アクアラヒール】Lv10【アクアラキュアー】Lv10

    風属性:【ウィンダラボール】Lv10【ウィンダラウォール】Lv10

        【ウィンダラスピア】Lv10【ウィンダラカッター】Lv10

    雷属性:【サンダラボール】Lv10【サンダラスピア】Lv10

    土属性:【ストーンラボール】Lv10【ストーンラバレッタ】Lv10

        【ストーンラスピア】Lv10

    聖属性:【治療回復】Lv10【毒解除】Lv10【精神回復】Lv3

    闇属性:【ヘイスラ】Lv5【レビテラ】【テレポ】



  初級魔法

    火属性:【ファイアボール】Lv10【ファイアスピア】Lv10

        【ファイアウォール】Lv10【ファイアシールド】Lv10

    水属性:【アクアボール】Lv10【アクアウォール】Lv10

        【アクアスピア】Lv10【アクアカッター】Lv10

        【アクアヒール】Lv10【アクアキュアー】Lv10

        【アクアシールド】Lv10

    風属性:【ウィンドボール】Lv10【ウィンドウォール】Lv10

        【ウィンドスピア】Lv10【ウィンドカッター】Lv10

        【ウィンドシールド】Lv10

    雷属性:【サンダーボール】Lv10【サンダースピア】Lv10

    土属性:【ストーンボール】Lv10【ストーンバレッタ】Lv10

        【ストーンスピア】Lv10【ストーンシールド】Lv10

    聖属性:【治癒回復】Lv10【毒中和】Lv10【精神安定】Lv10

    闇属性:【ヘイスト】Lv10【レビテト】


    生活魔法:【ファイア】【アクア】【サンダー】【ウインド】

         【ストーン】【ライト】【クリーン】



  《オリジナル魔法》

    特殊支援系

    【インベントリ】【ナビシステム】【カスタマイズ】【殺害強奪】

    【リストア】【無詠唱】【自動拾得】【音波遮断】【魔糸】【魔枷】

    【ホーミング】【魔力感知】【魔力操作】【ボディースキャン】

    【アクアフロー】【フェイク】【暗視】【アンロック】

    【コネクション】【スキルコピー】【エアーコンディション】

    【並列思考】Lv3【多重詠唱】Lv3【高速思考】Lv3

    【獲得経験値増量】Lv10【獲得AP増量】Lv10

    【獲得HP増量】Lv10【獲得MP増量】Lv10【消費MP軽減】Lv10

    【周辺探索】Lv10【詳細鑑識】Lv10【嗅覚鑑識】Lv5

    【マジックシールド】Lv10【プロテス】Lv10【シェル】Lv10



    戦闘支援系

    【剣王】Lv10  

    【槍王】Lv10

    【弓王】Lv10

    【闘王】Lv10

    【双剣】Lv10

    【隠密】Lv10

    【気配察知】Lv10

    【嗅覚強化】Lv5

    【聴覚強化】Lv6

    【忍足】Lv10

    【俊足】Lv10

    【筋力強化】Lv10

    【身体強化】Lv10


    工房支援系

    【倉庫内工房】Lv4【硝子工房】Lv1【塵処理工房】Lv3

    【調理工房】Lv4【機械工房】Lv1

    【機械工学】Lv1【機械設計】Lv1【機械加工】Lv1

    【武器工房】Lv2【防具工房】Lv1

    【プランクリエイト】Lv5【アルケミークリエイト】Lv3

    【ツールクリエイト】Lv3【メディスンクリエイト】Lv4

    【レザークリエイト】Lv4 【メタルクリエイト】Lv2

    【ハウスクリエイト】Lv5


    職業支援系

    【錬金術師】Lv5【道具職人】Lv3【調剤師】Lv5

    【革職人】Lv3【家具職人】Lv2【鍛冶師】Lv2

    【建築技師】Lv2【硝子職人】Lv1

    【武器職人】Lv2【防具職人】Lv1

    【刀鍛冶】Lv2



 【ハティ】

  HP:1983

  MP:1262

  レベル:13

  種族:ホワイトウルフ

  性別:雌

  年齢:0

  職業:小鳥遊龍馬の従魔


   攻撃力:1518

  防御力:1091

  敏捷力:1576

   知力:819

  精神力:667

    運:1529

  魅力 :1707


  《スキル》

   中級魔法

    風属性:【ウィンダラボール】Lv10【ウィンダラウォール】Lv10

        【ウィンダラスピア】Lv10【ウィンダラカッター】Lv10

    雷属性:【サンダラボール】Lv10【サンダラスピア】Lv10


   初級魔法

    風属性:【ウィンドボール】Lv10【ウィンドウォール】Lv10

        【ウィンドスピア】Lv10【ウィンドカッター】Lv10

        【ウィンドシールド】Lv10

    雷属性:【サンダーボール】Lv10【サンダースピア】Lv10



  特殊支援系

   【無詠唱】【ホーミング】【魔力感知】【魔力操作】

   【獲得経験値増量】Lv10【獲得AP増量】Lv10

   【獲得HP増量】Lv10【獲得MP増量】Lv10【消費MP軽減】Lv10



   戦闘支援系

    【隠密】Lv10

    【気配察知】Lv10

    【嗅覚強化】Lv10

    【聴覚強化】Lv10

    【忍足】Lv10

    【俊足】Lv10

    【筋力強化】Lv10

    【身体強化】Lv10



 俺のセカンドジョブはMP効率を上げるために【大賢者】を選択した。

 本来魔術師を先に獲得するのが普通なのだが、俺はその先の賢者も飛び越し大賢者を得ることができた。

 魔術師は基本MP量の増加、レベルアップ時の基本MP量増加、攻撃魔法のMP消費量半減と攻撃威力の増加がある。魔法使いなら間違いなくファーストジョブに選択する。大賢者はその最上位版だ。


 大賢者を得る条件が4種以上の上級魔法を習得することと、【無詠唱】を習得することだったのだが、俺たちはAPを振ることでサクッと獲得できるので実に簡単に大賢者のジョブが得られた。


 習得ではなく獲得なのだ。この世界の人が知ればきっとズルいと妬まれるだろうな。


 上級魔法を得られるようになったが、使いそうにないものは敢えて獲得していない。AP節約のためだ。


 それと魔法剣士を魔法騎士にクラスアップさせた。

 剣術と魔法適性が上がったので上位ジョブの選択が可能になったのだ。

 2つの上位ジョブを得て一気に基本ステータスが跳ね上がった。


 各種倉庫内工房はナビーのリクエストもあってかなり増やした。

 【プランクリエイト】と【ハウスクリエイト】だけはAPを使用して先にLv5にしてほしいと頼まれた。後は自由に色々やって、勝手にレベルを上げるので好きにやらせてほしいと言うのでナビーに任せてある。


 倉庫内工房のことをナビー工房と自分で名付け、私物のように扱っている。俺が寝ている間、やることもなく退屈だったのが、遊ぶおもちゃを与えられ、趣味のようにいろいろやっているみたいだ。既にレベルが上がってる工房が見られるのだが、亜空間で何をやっているのやら――



 あと、驚いたことに、ハティは種族レベルが10になったら、勝手にスキルを自己習得した。

 どうやらハティの種族特性は風>雷>聖のようだ。


 体の大きさは変わらないのにレベルが上がる度に足取りもしっかりし、頭も良くなってくるのが見ていて実感できた。だが、ナビーからこれ以上のレベルアップは生まれたばかりの子には負担が大きすぎるとレベルアップを中止させられた。


 このような前例もないので、ハティに負担があるかどうかも分からないのだそうだ。


 生後1日なのだ、ゲーム感覚でパワーレベリングをやってしまって少し反省している。ナビーに注意されるまで気づかず、生まれたばかりのハティに負担を強いてしまった。


 いくら知能や体の強度や筋力が上がっても、骨格そのものが急に大きくはならない。


 俺の従魔になったことで、あのレベルアップ時の白黒世界で体が神のシステムによって創り変えられるようになっているのでこのようなおかしなことが生じているのだそうだ。


 本来生後1日の狼はまだ首も据わっていないし目も開いていない。ミャーミャー泣いて母親のミルクをせがんでいるか寝ているかが仕事なのだ。人間のようにパーティーを組むこともないから、自分で狩りができるようになるまで兄弟でじゃれ合って訓練をし、1歳ぐらいになってやっとスライムやゴブリンなどを集団で狩ってレベルが上がるのだ。生後1日で種族レベルが13とか、本来起こりえない異常な事なのだ。


 戦闘時ハティは俺の見よう見まねでオークに中級魔法を撃ちこんで首を落としていた。

 【無詠唱】だし【ホーミング】も与えたので既にむちゃくちゃ強い。


 これ以上のレベルは上げないように、カスタマイズでレベルアップにロックを掛けた。

 ハティは今、服の中でお休み中だ。




 日も陰り、かなり疲れたのでこの辺でテントを張って野営することにする。

 レベルはそれなりに上がって、もうかなり無敵に近いのだが、明日もう1日木材集めをして帰るとしますかね

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