【映画鑑賞―――2014年2月27日夕刻・ハーバーランド・映画館にて】
【2014年2月27日夕刻―――ハーバーランド・映画館にて】
「次は何を見よう?」
「お前まだ映画見る気か」
「もっと見たくない?」
「
「いや
「あーあれか。当時、生で見たからなあ……
ってもうこんな時間か。レイトショーになるじゃねーか」
語り合う二人が歩いている通路は広く、床には柔らかな絨毯が敷き詰められている。左には巨大なポスター。右側に見えるのは品のいい壁紙。前方に広がるスペースの向こう側には柱や、幾つものモニターが映画のPVを流し続けている光景があった。
人はそこそこ。スーツ姿のサラリーマン、厚着をしたアベック、子供連れ、お年寄り等々の姿がある。
そこは映画館だった。
海にほど近いショッピングモールの五階にある、かなり大掛かりな施設である。
ちょうど今出て来たばかりの少年―――博人は、連れである銀髪に眼帯の少女へと疑問を投げかけた。
「ロボットなのに時間気にするんです?」
「ロボットじゃなくてれっきとした金属主体の生命体だ!ええいこのタンパク質の膜のおかげで辛うじて崩れずに済んでる液状生命体の分際で!」
「あ、宇宙人から見るとそう見えるんだ」
「同じ姿だからって同じメンタリティだと思うなよ?」
「いやどう見ても同じなんだけど……こどもっぽいし」
「あんだって?」
「何でもないです」
「……兵庫県の条例で、十八歳未満は22時以降に食い込む映画をみれねーんだ。諦めろ」
近日中に地球が滅ぶ―――というか滅ぼすくせに、この金属生命体、妙に律儀だった。
「えー。条例変えたりできないんです?」
「無茶言うな。拠点防御ユニットならともかく」
「なんですそれ?」
博人少年の疑問。
宇宙人の少女が返した返答はこうだ。
拠点防御ユニットとは、惑星を防御するために、その中心核へ埋め込む
「凄いなあ……」
「まあない物ねだりしても仕方ない。お前の家に帰る時間だ」
「はーい」
ふたりは駅へ向かうべく、エスカレーターへと歩き出した。
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