第33話 ランホリンクスを運ぼう… (33話)

 私とカスミちゃんとヘンリー隊長とジョンさんの4人で、縛り上げたランホリンクスを持ち上げて荷車に乗せる。


「隊長。飛竜って意外と軽いんですね」

「ああ、俺も驚いているところだ。空を飛ぶ生き物は見た目より軽いと言うがこの大きさでこれほど簡単に持ち上がるとは……」


 二人の会話を聞いて私とカスミちゃんは冷や汗をかく。

 すいません。それ、たぶん私たちのせいです。


 心の中で隊長とジョンさんに謝っておく。

 私とカスミちゃんの力の合計は2700ほどもある。

 成人27人分の力持ちだ。


 その二人が持ち上げているのだから、ランホリンクスの重さのほとんどは私たち二人にかかっており、隊長とジョンさんが軽くかんじるのは当然と言えば当然なのだ。



 とりあえず荷車にランホリンクスを乗せると、隊長とジョンさんが前から荷車を引き、私とカスミちゃんが後ろから荷車を押した。

 もちろん、ランホリンクスの本当の重さが隊長たちにばれないようにかなりの力を込めて押す。

 するとジョンさんが不思議そうにヘンリー隊長に話しかけた。


「隊長、なんか行きの空のときより、荷車が軽いような気がするんですが……」

「気のせいだろう。

 行きは一人で空の荷車を引いていたが、今は二人で引いている」

「そうですよね。

 後ろの二人も押してくれているし……」

「ああ、ああ見えてアリアちゃんたちは意外と力持ちなんだ。」


 ウサギのときを思い出してヘンリー隊長がいう。

 私とカスミちゃんは顔を見合わせ、再び冷や汗をかいた。




 何とか街に帰り着き、ランホリンクスをギルドに持ち込むと大騒ぎになった。

 ただでさえ珍しい飛竜が生け捕りである。

 ギルドの前に止めた荷車の周りには見物の野次馬が黒山の人だかりとなっている。

 といっても、この世界の人の髪は黒だけではないので、遠目で見た感じ黒くは見えないのだが…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る