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 モニターに見入るケン太の顔に薄笑いが浮かんでいた。

 うまくいった!

 洋子は本気で太郎を攻撃している。執事学校で習ったという格闘術を使って。

 いままで何度も執事学校の格闘術について耳にしたが、肝心なその動きについては何も判らなかった。

 それがいま、ケン太の目の前にあらわになっている。

 そうか、格闘術とはそういう動きをするのか。

 ケン太は太郎と戦うことを想定し、洋子に立ち向かわせたのだ。その結果、洋子がどうなろうとも構わない。

 いずれ太郎と美和子は、いま、じぶんがいるこの部屋を探し当てるだろう。その時、ケン太の計画は完成する。すべては美和子を手に入れるための、ケン太の計画であった。

 飛行機を目にし、ふたりが出てきたのを望遠鏡で確認したとき、ケン太の計画は決まっていた。島でうろたえたあまり、美和子にあの〝処置〟を施すように言いつけたことをいまは後悔している。太郎の父親、只野五郎によって救出されることを想定していなかったのだ。

 しかしいまは新たな計画にみちびかれ、美和子はケン太に会いにここへやってくるだろう。その時、ケン太はすべてを話すのだ。

 なにを?

 かれの愛を!

 そう、高倉ケン太がいかに真行寺美和子を愛しているかを語るつもりなのだ。

 

 かれはモニターを切り替えた。

 廊下が映し出され、そこに勝と茜のふたりがいた。ケン太はかすかに眉をしかめた。

 勝又勝、そして茜の兄妹か……。あのふたりはとんだ飛び入りだ。まあいい、なんとか処理できるだろう。ケン太はマイクを掴み寄せた。

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