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 ぴりぴりとした緊張が茜をつつんでいる。

 階段は暗く、一歩降りるごとにあたりは暗くなっていった。一階分ほど降りると、踊り場になり先がおれ曲がっていた。角を曲がると、その先は照明があるのか、白々と明るい。

 こわごわと顔を突き出した茜はすぐ引っ込めた。

「お兄ちゃん、この先に警備員がいる!」

 勝の耳をひっぱり、口を近づけ小声でささやいた。

 勝はうなずき、にやりと笑った。

 首にかけている下駄から紐を外すと、元の通りに足に履いた。

 わざとばかりにがらがらと大きな音を立て、歩いていく。茜は息を詰めて兄を見送った。

 その大胆な行動に、警備員は一瞬、気を飲まれたようにぽかんと口を開け、近づいてくる勝を見つめている。

「やあやあやあ! ちっと道に迷っちまったんだ……ところでトイレはどこかな?」

 息を呑まれ、警備員はあっちですと思わず指さそうとしたが、ほかのまだまともな神経の警備員があわてて手にしている麻酔銃の銃口をあげた。

 その瞬間、勝は猛獣のように突進した。

 引き金を引く暇もなく、警備員の顎に勝の拳が叩き込まれていた!

 ぐえっ、という悲鳴を上げ、警備員はふっとんだ。ごき、と音を立て、後ろの壁に背中を打ち付ける。ずるずるとそのまま失神してしまう。ほかの警備員もようやく立ち直って銃口をあげたが、すでに遅く、勝はあっという間にかれらを倒していた。

 ものの数秒で、数人の警備員は床にのびていた。ぱんぱんと勝は手を打ち合わせた。

「終わった?」

 茜は小走りに勝に駆け寄った。

「ご覧の通りだ」

 まあ、と茜はため息をついた。やむをえないとはいえ、倒された警備員に同情した。

「行こう! とにかくふたりを探さねえと……」

 うん、と茜はうなずいた。

 ふたりは先へと進んでいった。

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