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 やはり通り雨だったようだ。

 突然降り出した雨は、降り出したときと同じくさっとあがり、雲間から太陽のまぶしい光があたりを照らし出した。

 ふたりの巨漢がにらみ合っている。

 ひとりは勝又勝。

 もうひとりは風祭俊平。

 ふたりの身体からは、しろい蒸気が立ち上っていた。

 全身にちからをこめ、激突に備えているのだ。体中には力強く血液が流れ、体温は急上昇して服にしみこんだ雨を蒸発させている。

 ふたりともぴくりとも動かない。

 いや動けない。

 ちょっとでも身動きすれば、それが決着につながるという予感に相手の出方をうかがっている。

 

 うおおおお~っ!

 

 突然、俊平が雄たけびをあげた。

 地鳴りに似た、あたりを圧する音声に、からからと乾いた音を立て、コンクリートの破片が廃墟となったビルから路面にころげ落ちる。

 

 ぐわああああ~っ!

 

 負けじと勝も雄たけびをかえす。

 ぱりん、と音を立て、あたりの窓ガラスが割れて弾けとんだ。

 ばさばさばさ……と羽音をたて、このあたりに住み着いているからすが驚いて集団で飛び上がった。

 ふたりを中心として、同心円にほこりが舞い上がる。闘気が目に見える形で、あたりの空気を舞い上がらせているのだ。

 いざ対決! と、ふたりはじりっと足を動かした。

 そのとき……。

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