2
ぽかりと洋子の意識が戻る。
闇。
どこまでも続く闇が洋子をつつんでいる。
闇の中で洋子は瞼をぱちぱちと瞬かせた。
そんなことをしても何もならないと判っていたが、それでもせざるを得なかった。
ここはどこ?
闇の中で洋子の思考だけが空回りする。
手探りをする。
凝然となる。
じぶんの手がどこにあるのか、まるで感覚がない。動かしても、手はなににも触れず、動かしている実感もないのだ。
手ごたえがないとはこのことか。
足も同様、まったく感覚がない。
あたしはどうなったの?
恐怖が、喉元にこみあげる。
悲鳴。
洋子は悲鳴をあげた。
が、その悲鳴すらあげることは出来ない。
彼女の脳は喉に悲鳴をあげることを命じたが、喉はまったく反応しない。
気がつけば全身の感覚がなかった。
暑さ、寒さ、痛み、痒みすらなかった。
暗闇の中、ぽっかりと意識だけが宙に浮いている。
あたしは死んだのかしら?
誰か答えて!
洋子は声にならない悲鳴をあげ続けていた。
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