●10日目 03 昼『白いメシを食おう2』
「へいへいこっちだこっち!」
治安担当チームの数人が校庭に沿ったフェンスを叩いて変質者を集めていた。
ほどなくして、校門前の変質者の数が減ったタイミングで治安担当が物資運搬に使っている軽トラックが校門前にやってくる。
「オーライオーライ」
学校内で待ち構えた別の治安担当がすぐさま手慣れた感じで門を開き、すぐ軽トラックを通す。しかし、門を閉める瞬間を狙って変質者が一人学校内に侵入してきた。
「…………」
それを間近で見ていた沙希。梶原がすぐにその前に立って見を守ろうとするが、動じなかった。
すぐに軽トラックから降りてきた八幡が大型のサバイバルナイフを懐から抜くと、早歩きで変質者の背後に周わると全く躊躇せず首筋あたりにナイフを突き刺した。変質者はすぐに事切れて地面に倒れ、他の治安担当が死体を運んでいく。
手慣れたもんだと沙希は感心しながら八幡のもとに近づく。
「悪かったわね、急な物資確保だったし」
「いいよ。スーパーの食料枯渇の問題はわかっていたし、生徒会長のプランが上手く行けば結果的に僕達の負担も減るからメリットもあった。あと何と言っても別の問題でもあった変質者たちの撹乱できたしね」
ホームセンター周辺にも変質者はいたが、数はかなり少なかったと到着時にトランシーバーで報告を受けていた。それには理由があって、ここ数日スーパーへの物資調達をしていたせいで変質者たちがその周辺に集まりつつあった。このまま増え続けると、調達が困難になる上、封鎖しているスーパーの出入り口が破られて中に入り込まれる恐れもある。
今回いつもと違う方向のホームセンター側に向かったため、変質者たちの一部がスーパーから離れてホームセンター側に向かったという屋上の監視チームから報告を受けていた。本来の目的とは違ったが、いい副産物が生まれている。
「大型の炊飯器3台と普通のが3台と発電機4台。あと米袋30kg……」
食料担当の栗原が受け取った物資の数を数えていていた。そこで光沢が自家発電機を見下ろしながらポツリと言う。
「発電するためにはガソリンが必要のようですが……」
「…………」
沙希は唖然とした――いやその場にいる全員が。普通に考えてみれば当然なにもないところから電気ができるはずがない。完全に失念していた。
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