趣味の話題すなわちマニアの戦い

「あぁよく寝た」

僕は眠りから目を覚ますと、時計を見る。

工藤亜里砂が約束してくれた休息時間まで後1時間ある。

良し。自分の部屋に行って身だしなみを整えて給湯室で食事でもするか?

即実行だ。

僕は自室に戻り、電動ひげそりでひげをそり、艦内共用の洗面所で顔を洗い、顔を洗った。

なんとか様になったかなと思う。

歯磨きセットを自室に戻しに行く。

部屋に行き歯磨きセットを片付けていると、学習用のタブレットが目に入った。

そういや、学園は単位制だから学習を進めておいた方がいいんだよな。

気が進まないけど勉強をしよう。どうせやるなら2000年代から2010年代に流行ったラノベかな?。特に古典と呼ばれている部分だ。アニメ化とかスマホゲーム化でいろいろあって複雑怪奇すぎるけど。その分、楽しい。嫌な勉強をするくらいなら楽しい事をしよう。食事を取った後に水でも飲みながら学習をしよう。

工藤亜里砂がコーヒーやお茶代をけちったから船にはない。

僕はそんな事を考えながらタブレットを持ち、給湯室に向かう。

歩く事数分。給湯室にたどり着く。そこには黒髪ストレートのあんまり会いたくない少女がいた。工藤亜里砂だ。

「順平も食事かしら」

「そうだけど、タブレットなんて持って給湯室で何をするつもりかしら」

「食事を取った後で古典の勉強でもしようと思ってね」

「どうせ萌えラノベとか萌え4コマ漫画とか読むんでしょう」

「日常系の作品は好きだけど、工藤さんも古典に詳しいんだね」

「えっ。私は古典の勉強を少ししただけよ。詳しくないわよ。良かったら勉強を教えてあげようか?」

「詳しいの?」

「一般常識程度には知っているわ」

「今調べているのは古典分野のサブカルなんだ。声優ライブの事を調べているよ」

「アイドル声優好きなの。気持ち悪い」

「普通じゃないかな?好きな作品がアイドル作品だったらライブとかして欲しいと思うだろ」

「アイドルアニメ好きの方が嫌だわ」

「アニメとか言って無いよ。正確に言うとアニメじゃなくてソーシャルゲームだよ」

「もしかして船外活動も学生の身分も副業と言うんじゃないでしょうね」

「詳しいね。もしかして好きなの?」

「嫌いだわ。何かしれないけど、私達の事を下に見てくるからね」

「もしかして人生とか言う派なのかな?」

「そっそんな事は無いわ」

「伝説の5thライブで泣いたりしたのかな?」

「順平も詳しいじゃない。細々と続くんじゃなくて太く短く伝説になった方が格好良いでしょう」

「ウィキペデアで調べただけだけどね。後アニメを見たよ」

「一応語る資格はあるみたいね。私もある程度は知っているわ。敵の事は調べないといけないからね。全否定はいけないわ。誰が好きなの?」

「菜奈さんだよ」

「今何歳なのよ」

「17歳だよ。永遠だからね」

「話を元に戻しましょう。何が分からないのかしら」

「声優ライブが分からなくてね。まずはアイマスが最初かな?」

「確かに速いけど、サクラ大戦の歌謡ショーに源流を求めた方が良いと思うわよ。先達が作り上げてくれた歴史を無視してはいけないと思うわ」

「ほとんど見たこと無いけどそうだね」

「そして伝説の5thライブにつながるのよ」

「途中無視しすぎじゃないかなら。けいおんとからきすたの功績は無視できないんじゃないか?」

「確かにライブの敷居は下がったと思うわ。盲点だったわ」

「もちろんアイマスのライブの功績も大きいとは思うよ」

「だからなんで上から目線なのよ」

「いやただ歴史に敬意を払わないと行けないと駄目だと思ったから」

「やっぱり船外活動要員は副業じゃない」

「その怒り方はやっぱりライバーかな?」

「ライバーの何が悪いのよ」

「悪くは無いよ。大きな心を持った方が良いと思うよ。それにしても工藤さんは古典に詳しいんだね」

「あの時代の古典を学んでいたら自然と詳しくなる物よ。順平はオタクじゃない」

僕は時計に目をやる。休憩時間も残り少ない。工藤亜里砂にはかまっていられない。

「オタクじゃないし不毛な会話はやめないか。古典の世界の事だし。ご飯を食べたい」

「そう言えばそうだった。船外活動要員の体調管理も社長で艦長で部長の仕事だわ。不毛な論戦をしている暇はないんだった。順平ご飯を食べ終わったらブリッジに来てちょうだい。学園に帰る説明をするわ」

                                 続く 








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