安全宙域への航行
リニアカタパルトから宇宙船が遅い速度で発進されてからしばらく僕はブリッジから見える宇宙空間を見ていた。
「光帆、メインモニターに安全宙域までの航路と区域を出して」
「えっと?」
「光帆さん、現在航行位置のアプリを開いて、現在位置の確認と安全宙域の場所のボタンをクリックしてください」
「ありがとう綾音ちゃん」
因みに安全宙域と言うのは学園などの宇宙にある施設ごとに決められている相転移エンジンを始動して、被害を出さない距離の事だ、この距離になるまでフィールドジェネレーターもミサイル迎撃ミサイルシステムなども使用できない。作動してして学園に損害を与える可能性があるからだ。
「学園に入ってから出航まで長かったわ。でも艦長としてなかなかの腕でしょ」
「艦長、まだ試験は終わっていません」
「そうね、学園の管制室に救われた所もあるしね」
「綾音も紗枝も言い過ぎじゃない」
「そうだよ。艦長すごかったと思うよ。お姉ちゃん」
「あれはマニュアル通りの通常の発進よ。まぁはじめてにしては普通よね。それはすごいかも」
「初めての経験ではありませんよ。艦長は何回か経験しています」
「へっ?そうなの?」
「緊急時単独運用条件で私と一緒に出航を行った事があります」
「みなさん、今は安全宙域までの相転移エンジンとフィールドジェネレーターも起動できない危険な時間帯です。紗枝さんはいつでも船が動かせる様に、光帆さんは
センサー系の確認して高速で移動する危険物が無いか確認していください。油断大敵です」
「はい。ビショップ先生すいません」
「ごめんなさい」
「私に謝るのではなくて、次から注意してください。全員の命にかかわりますからね」
「はい」
「分かりました」
「艦長、分かっていますね」
「指導力不足でした」
「それならよろしい」
ブリッジが緊張感が満ち静寂に包まれる。
僕はモニターを見ていた。
安全宙域までもう少しだ。
船を表すシンボルが安全宙域と書かれた広大なスペースに入る。
「綾音、相転移エンジン始動。アイドリング。電池系からの電力供給カット。フィールドジェネレーター作動」
「了解しました。艦長。相転移エンジン起動。アイドリング状態。電池系からの電力供給を停止します。フィールドジェネレーター作動します」
船の始動準備はやっぱり熱いなと思う。これから短いけど航海が待っている。希望に胸が膨らむのだった。
続く
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