運搬業務

からからから

廊下に台車を押す音が響く。

食料や水を運ぶためだ。水は一応生活用水タンクに貯める事ができる。水の再処理を行えば水を運ぶ量も減るけど、設計が複雑になるのと、水を再処理して使う事に抵抗を感じる人も多いから、再処理を行わない。僕みたいな宇宙ステーション出身の人間から見たら水を大量に使ったり、再処理した水を使わないには違和感を感じる。宇宙空間において酸素と水はとても貴重なものだ。

結構長い距離を歩いて、購買部にたどり着く。

人の好さそうなおばさんがそこにはいた。

「すいません。武装商船部の相沢と言います。ここに書いてある商品をもらえますか?」

「相沢君?話は聞いているわ。第一ドックまでエレベーターが無いから大変でしょう?頑張ってね。商品はすでに用意しているわ。その廊下に置かれた段ボールの箱よ」

僕は積み上げられた段ボールの箱を見る。

水が入ったがペットボトルが6本入った段ボールが2つ。

朝食用レーション、昼食用レーション、夕食用レーションが入った段ボールがそれぞれ一つずつ。エナジーブロックが入った箱1ケース。最低限の水分を補給するためのエナジードリンク問われるものが96本が46本入りの箱で2ケースあった、これは非常用に2週間備蓄しないといけないとされているから量が非常に多かった。

水系はかさばるから一度に運べないなと思う。水とエナジードリンクを運ぶことにしよう。そう決めると荷物に間違いが無いかを確認しながら台車に乗せていった。

2往復だなと思う。エナジードリンクの方が重たい。

「もう一度取りに来ますので、よろしくお願いします。書類にサインをお願いします」

そう言って僕は書類を提出した。

「はい、必要な所はサインしておきましたよ」

「では預かっていてください。船に積み込み行きます」

そう言って僕は台車を押し始めた。バリアフリーをうたっている学校だけあって廊下はスムーズにいく事ができた。問題は階段だと思う。フロアを3つ下りないといけない。安全のために大型艦用のドックを除いて、小型艦用のドックにはエレベーターがついていないのだった。

僕は台車を人すら押していく。最初の階段が近づいてきた。覚悟を決める。台車を止めて、エナジードリンクの入った箱を持ち上げた。辛い作業になると思う。これもトレーニングだと思うと荷物を持ち、階段を降り始めた。しかしあと階段が2か所かと思うと辛いかもと言う思いが頭をよぎるのだった。

                                続く

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