見られるのはお好きですか?
「それにしても順平ってオタクよね」
えっ?
僕はオタクなのか?
オタクって深くて広い知識を持っていて、得意分野では誰にも負けないと言う伝説の人達の事か?
ちょっとうれしくなる。
っでも、もう死語だから良く分からないけど。もしかして一時期は人を下げずむ時に言われた事があるから良く分からないけど。マニアとオタクは違うらしい。
オーディオや車、女性のアイドルファンはオタクに含まれないらしい。難しい定義の言葉だなと思う。多くの人が理解しやすい物はオタクと呼ばないらしい。
なにせ300年前の言葉だから良く分からいけど。
それに僕は狭い世界で生きて来たからオタクの実感はない。知識も浅いし。
でもそれがオタクの証拠なのか、でも僕がオタクだとオタクの人達に失礼だ。
否定しないといけない。
それに僕は
「僕はオタクじゃないよ、
「そう?まぁ、オタクじゃ無い方が好都合だわ」
何か工藤亜里沙は嬉しそうな顔をしている。
「順平、上着を脱ぎなさい。もちろんシャツもよ」
質問の意図が全く見えない?
「どう言う意味かな?」
「オーナー何を言うのですか?」
「減るもんじゃないし、順平は見られて喜ぶタイプでしょ?」
「そんな性癖は持っていない」
「あら、船外作業要員として鍛えた肉体を見て欲しくないの?」
「別にオーナーが見る必要は無いと思います」
「僕は変態じゃないから、見られても喜んだりしないよ」
「艦長命令よ」
「オーナーは艦長じゃありません」
「僕も工藤さんを艦長を認めた訳じゃない」
工藤亜里沙は猛獣が笑うとこう言う顔をするのだろうと言う様な笑みを浮かべる。
「ところで綾音。順平のメディカルチェックはしたの?艦長として乗員の健康状態を知っておく必要があるわ」
「まだ入学時の身体測定のデータだけです」
「筋肉のつき方を目で確認しないといけないじゃない?」
工藤亜里沙は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「綾音は船として乗員の健康状態の管理、特に宇宙空間に活動する船外作業要員の筋肉の状態を目視して確かめておく必要があると思うわ。義務と責任よ。目視をしておかないで大丈夫かしら?」
工藤亜里沙は綾音さんを諭す様に話しかけていた。
綾音さんはうつむいて考え込んでいる。
答えはのーと言ってくれ。
そんな願いは届かず、綾音さんはとてもうれしそうな表情を浮かべて顔を上げる。
「確かに順平さんのメディカルチェックは必要です、今すぐ、上着とカッターシャツを脱いでください」
「綾音もそう言っているし、ちょっとだけ見せてよ」
「セクハラだ」
「これはクラブの成立に関係する重大問題だから頼むわ」
「順平さん、船外作業員は筋肉のつき方が重要です。だからお願いします。ダメですか?」
綾音さんに見つめられている。
僕は綾音さんを困らせている様で、こちらが申し訳ない気分になる。
船と船外作業員との絆の為だ。
僕は覚悟を決める。
上着のボタンをはずし、脱ぎとごろな椅子に上着をかける。
次はカッターシャツのボタンに手をかけた。
恥ずかしい。カッターシャツの下はタンクトップだけだから。
「早く脱ぎなさい」
工藤亜里沙ははやし立てる。
綾音さんは何かを期待するような目で僕を見つめている。
諦めよう。
僕は弱い。
僕は恥ずかしさに耐え、カッターシャツを脱ぎ捨てる。
工藤亜里沙と綾音さんは嬉しそうな顔をしている。
「見かけによらずに筋肉がついているのね」
僕の体を見た工藤亜里沙の第一声はそれだった。
「オーナー。船外作業要員の方は筋力トレーニングが義務付けれられていますからね」
「そうね。筋肉がつき過ぎず、少なすぎない。きれいな筋肉のラインよね」
「船外作業員の作業は持続的な筋力の発揮と瞬発力を求められますからね」
綾音さんは嬉しそうに解説をしてくれた。
アンドロイドでも感情の機微はあるのだなと思った。
正直僕は混乱しているのだった。
半裸の姿を女性に要求された事などない。
普通に生きていれば要求される事も無いと思う。
なぜ、工藤亜里沙が平常心を保っているかも分からない。
とにかく僕は恥ずかしかった。
「良いからだね。これならいけるわ。納得してくれそうね、順平カッターシャツを着なさい。今から職員室に行くわよ。カッターシャツの第二ボタンまで開けて、服の袖はまくっていてね。顧問になってくれるように頼みに行くわよ」
僕の服装が整うとそう言って工藤亜里沙は僕の腕を引っ張り職員室に向かうのだった。
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