レイン、決戦(6)

 魔王とゴンノーが、ある意味拮抗した勝負を繰り広げているとは露知らず、双方と協力関係にあるそれぞれのレイン・シュドー同士の戦いは、より白熱ぶりを増していた。


「「「「「ぐうっ!」」」」」

「「「「「「はあっ!!」」」」」」


 ほんの僅かな覚悟の違いにより、無限に広がる世界の果て一帯に広がる純白のビキニ衣装の美女の大群の大半を自分達の中に取り込むことが出来たレイン――魔王と共にこの場所に攻め込んだ本物のレインたちであったが、当然相手側のレイン・シュドーがそれを黙って受け入れるはずはなく、次々に放たれるオーラの嵐や剣術によって抵抗を続けていた。覚悟の違いはあれど相手の実力は自分自身と全く同じと言う事もあり、1対1、同数対同数では決着がつく見込みが双方とも分からないほど実力は互角であった。

 だが、本物のレイン・シュドーには相手を圧倒するだけの『数』の力が秘められていた。



「「「「「これをっっ!!」」」」」

「「「「きゃああああっ……はっ!!」」」」



 一切手を抜かない『真剣勝負』のため、彼女は敢えて多勢で迫り来る事で、彼女たちは敵対する別の自分自身を少しづつ圧倒し始めたのである。勿論剣術や魔術を使った戦いは怠らず、迫り来る自分の大群を迎え撃ってはいたが、それと並行するかのように別のレイン達が次々と周りの自分を新たな自分の一部にするべく動き続けていた、と言う訳である。自分自身の数を無闇に増やさないまま手札を増やすという矛盾した論理を解決させるには、周りの『敵』を『自分』に変えればよい、と言う彼女達にとっては当たり前、だが非常に重要な行為であった。


 当然、相手のレインも自分達と同じ実力を持っているがために敵対する自分をこちらの勢力に取り込むべく同じ魔術を次々に放ち始めた。だが、先手を打たれたという決定的な不利の要因を崩すまでには至らず、相手がまるで盾のように打ち出した漆黒のオーラや、ビキニ衣装のみを身につけた全身に張り巡らせたオーラに弾き返されるレインも次々に現れた。



「「「あぁぁぁっ……はっ……よし!」」」

「「「「「まだまだ行くわよ!」」」」」

「「「「「「うん!!」」」」」」」



 自分自身の体から新たなレインを生み出す事無く、相手から奪い取るという形で次々と味方を増やし続けるレインによって、次第にこの広大な世界の果ての荒地が占領されていった。灰色の空のほとんどの領域を肌色で覆いつくす彼女達は、次第に攻撃の手を一旦緩め、相手の出方を待つような仕草を取り始めた。確かに相手の数はどんどん減ってはいるものの、そういう場合に油断をして良いのは愚かで哀れな人間を相手にする時だけ。何せ今回の敵は、自分達とほぼ同一だが、互いに理解し合うことが不可能という致命的な違いを持つ別のレイン・シュドーなのだから。


 間違いなく次の一手が来る――その判断は、けだし正しかった。



「「「「!?」」」」


 

 突然、レインの下に広がる荒れ果てた地面全体を、まるで雷が走るような閃光が包んだ。そしてその直後、地面の色が地平線の果てまで一斉に変わった。一瞬驚いてしまったレインたちだが、その光景は完全に予想通りのものだった。何せつい先程、最初に『彼女』達が現れた時も――。



「まだこれからよ!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」…


 ――こうやって地面の下から湧き出てくるかのように、ゴンノーに味方をするレイン・シュドーが次々と現れたのだから。自分達に同じ手は二度も通用するはずが無いのに、と言う相手を舐めたような心を一瞬だけ形作ってしまったものの、何とかそれを抑えたレインたちは、まるで天がそのまま地上に落ちてくるかの如く一斉に地面から現れ続ける別の自分へと果敢に挑み始めた。


「「「はあっ!!」」」

「「「ぐっ……やるわね……きゃああっ!」」」

「「「「悪いけど、こうなったら容赦なし!貴方達を倒……きゃあっ!」」」」

「「「「「幸いね、私達も同じ考えよ!!」」」」」」


 最前線のレイン・シュドーが、無数の剣が交わる音――金属音のみならず、漆黒のオーラ同士がぶつかり合う時に放たれる何かが衝撃で歪むような音を無限に響かせるところを、背後から次々に黒や白で彩られたオーラを放ち、相手の懐を攻めんと別のレインが動き、その動きをさらに止めようと別のレインが相手を自分自身に変えるためのオーラを打ち込み、その攻撃をまた別のレインが止める――1つに結った髪、純白のビキニ衣装、健康的な肌、そして相手に見せる憤りの表情、何から何まで全く同じ外見を持つ彼女達の戦いは、互いを滅ぼさんと動き続ける、いつ果てるとも知らない状況へと変わっていた。



「覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」…



 魔王サイド=本物のレインは、この状態を作り出した根本的な要因をある程度理解していた。

 思いのまま数限りなく増え続けるため、レイン・シュドーは本拠地、地下空間、そして人間達から奪い取った町や村などの土地以外にも、『レイン・プラント』とも呼ぶべき植物が生い茂る森を幾つか確保していた。嵐にも負けない強靭な体や太陽の光を存分に受ける巨体を得る代わりに、毎日新たなレイン・シュドーが入っている実を産み出す性質を植え付けられた、彼女達のためだけに存在する植物である。

 それと似たようなシステムが恐らくこの地下に眠っているのだろう、と彼女は推測していた。透明な殻に包まれながら目覚めの時を待つ自分自身のようなものが、相手やゴンノーが本拠地と呼ぶこの場所の地下に存在し、それが次々日常に送り込まれることで新手の援軍となって誕生し続けているに違いない、と。そうなれば、無数の敵対する自分が沸きあがり続ける世界の果ての地面を引っぺがし、内部にある構造を破壊、いや破壊するのは幾らなんでも勿体無いので漆黒のオーラを利用して『自分自身』を産み出す存在に変えてしまうのが最善の手段だ、と激闘の中でレインたちは考えた。全ての彼女達の心は同じ、言葉を交わす事無く彼女たちは一斉に動く事ができた。


 ただ、あくまでもそれは止まりだった。

 

「「「「「ぐっ……!!」」」」」

「「「「「「また来た……!」」」」」」」


 きりがないわね、とつい言葉にしてしまうほど、敵対するレインの数は一向に減る気配を見せなかった。例え目の前にいる相手が完全なる自分自身だとしても、容赦なく叩き潰すという意志を容赦ない攻撃で見せたレインたちによって、確かにゴンノー側のレイン・シュドーは次々と蹴散らされ、粒子状になって数を増やそうとしてもその全てを手中に収める事で相手の数の増殖を懸命に防いでいた。

 しかし、そんなレインたちの戦いを嘲笑うかのように、無限に広がる荒野の下からは数限りなくレイン・シュドーが決意の表情と共に湧き出続けていた。本物の彼女達が敢えて数を減らす覚悟を決めたのとは対照的に、数の力を最大限に駆使して敵を圧倒するという、ある意味ではレインが最も得意とする正攻法を選んできたのである。



「覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」覚悟しなさい!」…



 全く同じ言葉の波を作りながら押し寄せてくる別の自分達の大群もまた、まるで無限に広がる地面そのものが天に向かって浮上し続けるようなものであった。再び戦場は、無限の美女が寄り集まった途轍もない大きさの肉の塊がぶつかり合う場所へと変わり始めようとしていた。

 倒せば倒すほど相手は増え続け、逆に倒されても倒されても自分の数を様々な形で増やして挑み続ける――根本的な心は違えど同じ思考判断を持つ者たちが全力で激突するとどのような結果になるのか、その模範解答を示すかのごとく、レイン・シュドー同士の戦いは完全に拮抗状態になった。


「「「「ぐっ……!」」」」

「「「「「いい加減……諦めなさい……っ!」」」」」

「「「「「「それは……貴方達のほうでしょ……!!」」」」」」


 歯を軋ませながらオーラをぶつけ合い、剣を相手の体に向けて動かそうとするレインたちであったが、どちらとも相手を殲滅するまでは絶対に諦めないと言う心は全く同一だった。相手が何らかの形でへこたれなければこちらが有利になる事は出来ないが、それは自分達もまた何らかの形でへこたれてしまうのと同じ意味を持ってしまう。


「レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」レイン……っ!」…



 世界で最も愛する名前と現在もっとも憎むべき相手の名前を同時に叫んでも、無尽蔵に増え続ける彼女たちの戦いを止めることが出来る存在は現れなかった。当然だろう、この場所にいるのはしかいないのだから――そのような終わり無き悪夢が続こうとしていた、まさにその時だった。その場にいる全ての彼女たちの耳に、この場に似つかわしくない、愚かな人間たちが作り出したガラスが割れるかのような奇妙な音が響いたのである。その方向が前後上下左右、どこから聞こえるのか見当がつかず、一瞬攻撃や防御を中断した彼女たちはその方向を探り当てようとした。



 だが、その必要は無かった。彼女達の全ての目、全ての心に、この無数の自分達に覆われた空間のどこかで繰り広げられていた1つの決着が映されたのだ――。



「「「「「……魔王!?」」」」」

「「「「「……ゴンノー!?」」」」」



 ――大量の漆黒のオーラを凝縮させた魔王の巨大な拳を受け、『異空間』とこの場所を隔てていた壁ごと体を貫かれた、魔物軍師ゴンノーの姿が……。

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