第3話 裁判で有罪でたし
「被告人を懲役5年、罰金100万円、追徴金800万円の刑に処す」って裁判官に言われて、刑が決まった。
この瞬間を、後々も夢に見るほど嫌な瞬間だったって振り返る受刑者も多いらしいね。
俺は、なんだか他人事みたいに聞いてたけど。
で、控訴とか上告をしなければ、そのまま刑が確定する。
刑が確定すると、『被告人』から『受刑者』っていう呼ばれ方に変わる。
そんで、拘置所の中にある『確定房』ってところに移される。
まず、服を渡されて着替えるように言われた。昔は灰色っぽい色してたらしいけど、最近のは緑っぽい色してる作業着。基本的に、使い古し。
…なんで緑? なぁ、なんで緑? 目立つから?
私物も、持ち込みを認められてるもの以外は全部没収。携帯は当然アウト。
んでそのあと、バリカンで髪を刈られる。全員、坊主。五分刈りとか三分刈りとか。
後で聞いたけど、外国人は長髪もOKなんだってさ。俺、日本人風の偽名で捕まっちゃったからか当然のように日本人用の刑務所に入れられてたんだけど、後で知ってもっと外国人をアピールしとけば良かったって今更悔やんでも仕方ないけどさ。
で、この後すぐに刑務所に送られるやつとそうでないやつに分けられる。
初犯だったり、26歳未満だったり、性犯罪者だったりすると刑務所の中にある『分類センター』ってところにひとまず入れられるんだ。
何を分類するのかって? どこの刑務所に放り込むか分類するんだってさ。
そこで、面接と筆記試験を受けて、どこの刑務所に入るかが決まるんだ。
刑務所にも、いくつか種類があってね。
受刑者のタイプによって入る刑務所がある程度決まってる。
まず未成年のやつはJ級、20歳~25歳のやつはY級と言われて、そいつらが入るのが少年刑務所。
それ以外の初犯のやつはA級、初犯でも10年以上の刑期のやつはLA級って言われる。
初犯じゃないやつはB級で、その中でもさらに10年以上の刑期のやつはLB級。
ただし、暴力団関係者は初犯でもA級にはならずB級。
外国人はF級。
で、級によって受け入れる刑務所が決まってくる。
女性は、W級っていわれて全員が女子刑務所に入る。
他に、精神障害(M級)とか病気の奴(P級)が入る医療刑務所がある。
そのほかに、PFT方式の刑務所もある。これは半官半民で普通の刑務所よりも自由度が高い新しいタイプの刑務所。ただし、初犯で軽犯罪のやつしか入れない。
俺は、当時20代前半だったけど暴力団関係者だったからYB級って言われてた。
入ったのはYB級を収容する少年刑務所だった。
けど、少年刑務所っていっても、Y級とJ級(未成年者)は極力接触しないようにきっぱり分けられててさ、実は30代とか40代のやつも入ってたから、普通の刑務所と大差ない感じだったな。
違いは、他の刑務所と比べて職業訓練が充実してるってことぐらい。
分類センターで過ごすのは、一か月くらい。
さっき書いた面接とか筆記試験…だけじゃなくてだな。
やってることは刑務所体験入部的な感じのところだった。
午前中2時間くらい運動させられて。そのあと、刑務作業の真似事みたいな工場作業させられてたっけ。
いままで留置所拘置所でほとんど座って過ごしてたのに、いきなり毎日2時間運動しろって、かなりきつかったんだけど……。
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