Hello, Hollow Pillow World





Hello,


ありふれた矜持の中で踊る僕ら

融解した 雪の中

かまくら に押し潰された子熊

擦り切れた手袋の傷


うらぶれた凶事と共に籠る僕ら

誘拐した ゆきの中

瘡蓋かさぶた を押し潰して滲む赤

振り切れた感情の地図


丸 三角 四角 重ねて転がした 単純な未来の描像

まだ参加の資格もない 重ねて落ち込んだ 容易に去来する想望

透かし重ね 僕らは暗い旅を呪う


Happy end な Everyday ここは、破裂した水道管

首を出す異形の怪異 音もなく、消えた あの日の幻想


最新鋭機の産声 ここは、破滅した空虚の国

海で鳴く遺業の作為 声もなく、知らぬ存ぜぬ聴こえませぬと


通り過ぎるだけな、僕らだけの唄





かじかんで 包囲された夢台地の中

後悔した 不意の中

アスパラ を差し込んだソルベ

梔子くちなしの散らかした花弁はなびら


恥じらって 創痍だけの喰えぬ鯛の腹

公開した 不治のさが

ざんばら に斬り揃えた時雨

家なき子の辿る 家路に転がるビー玉


裂く 短冊 威嚇 寝転び泳がせた 窮屈な未来の描像

喰む 血みどろの魍魎 蹴飛ばし俯いた 小麦に紛れる絶望

叫びを合わせ 僕らは暗い旅を呪う


はなから鋭利な言葉で そこに、刻み彫る空洞橋

首を傾ぐ異形の怪異 音もなく、消えた あの日の希望


背徳的な正義が そこに、縄で括る虚ろな翼

不義を稼ぐ始業の合図 心なく、消えて 消えて 消えて響く







噛みついて 包囲された夢舞台の上で

僕らはいつまでも踊っていた

冷たい踊りを

踊っていました


ありついて やっと口にした食糧の色は

まるで前世紀の荒屋の漆喰

溶け出していた濁りの毒


浅ましく 口に出した僕らの抱負は

豊富な反論材料に姿を変え 彼らの糾弾に転嫁 [添加] [点火] されていく


嗚呼 ドアノブを震わせるだけでした

僕らの歌声は







白い線が一筋、視界を横切って微笑んだ

狭いカラオケルームで 僕らは歌っていました

無い明日を

閉ざされた未来を

変わらない世界を

知らないと聴こえない愛を

いちいち感動したふりで 空虚なエーテルを適度にゆらゆら光らせては


禁煙室の空調さえ こびりついた煙草を吐き出さざるをえない部屋で

それでも僕らは歌いました

それでも僕らは唄いました

それでも僕らは詠ったんだ


ねぇ、僕らは謡ったんだ







Hello,


踊ろう

いつの日か、終わりが終わり

はじまりがはじまるまで







さあ 眠ろう

いつの日か、哀しみが終わり

暗がりがはじまるまで。







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