反抗期なんて僕にはなかったとずっと思っていたんだ
かつて僕を攫った殺人鬼は言った。ここが君の楽園だ。
かつて僕から搾取した詐欺師は言った。これがお前の人生だ。
かつて僕を貶めた同級生は言った。だからお前は嫌いなんだよ。
かつて僕を産み落とした母は言った。お帰りなさい。
どこに僕の居場所があるかは明白なのに、僕には素直になれない時期があった。
ここに僕の居場所があるのだと、何もない空間に心の秘密基地を打ち立てた。
現実を見て、絶望して、希望を抱いて、光に包まれて、谷底に転げて、それでもまだ幸せと不幸せの天と沼は僕の知らない遠く遠くに存在していて、僕は眼前に浮かべた岩の塊の小さな島を壊しては、
やっぱりあなたのお帰りなさいだった。
ただいま。僕はいま久しぶりに、あなたの僕を取り戻せた気がします。
ありがとう。僕はようやく天邪鬼を卒業して、僕のための僕で在れそうです。
ありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます