芸術という魔物

人間は、芸術がなくても生きていけます。
音楽がなくても、死ぬことはありません。
しかし、サルから人間に進化し、知性という物をみにつけてくると、そこらに落ちている木や石を使って、リズムすなわち音楽を奏で始め現在に至るわけです。

呪いのバイオリンをめぐる怪奇譚ですが、どこかからっとしたつきぬけた明るさが漂っています。それは、語りの妙なのでしょう。この語っている人物の素性も最後にあかされ、その正体に驚きます。
なんといっても最後のセリフが妙にすがすがしく、あっぱれの一言です。
人間は音楽の奴隷である。そこからの解放を堪能してください。
どうぞみなさんも、音楽の魔性に引き込まれませんことを。

その他のおすすめレビュー

澄田こころ(伊勢村朱音)さんの他のおすすめレビュー395