学園コース2年目、と、エピローグ

 現実世界で1週間後の土曜日08:15、予定通り、学園コース2年目が稼働した。


 2年目は、にぎやかだ。なにせ、


「僕も今回、仕事が午後になった。『留学』は延期だな」

「きゃー、お姉様ー!」


 というお約束のマキノを加えた俺達5人に加え、


「よ、よろしくお願いします…」

「陸上部にようこそ!毎朝ランニングよ!」

「日本の本も少しは読んで帰ってほしいわね」


 という、『留学生』であるレオンくん、


「ツムグくんと同級生…しかも、1年間も…」

「登校も下校も休日も、一緒に…」

「…ひとつ屋根の下…同居…」

「あ、あの、みんな、この世界も『接触不可』だからね?」


 という、強制ログアウトしかねないハーレムパーティ4人、


「ふむ、中学生という現実離れの立場で長く暮らすのも興味深いな」

「新たなる長き想いを胸に学び舎へと臨む」

「人の世の思いがけぬ絆に心を強く揺さぶられる」


 今回は年度始めから参加する『あの2人』と、関根教授。


 以上、13名が1年間継続滞在の予定だ。騒がしくならないはずがない。


「自己紹介終わったなー。最後に、今年度のクラス委員決めるぞー」

「はーい、昨年度に引き続いて、サトミさんとユキヤくんがいいと思いまーす」

「さんせー」


 お前ら、今年度こそHRにはちゃんと出席しろよ?



 学園コース2年目は、怒涛のように進行しつつも無事終了した。メンツがメンツなので恋愛ネタや身内ネタが多く、運営への報告書には書けない話題が豊富なのが困ったところだ。

 もっとも報告については、1年目や、辺境化した冒険コースの経験だけでも充実しており、既に送付した分が運営の絶賛状態だ。関根教授が追認していることも背景にある。『霧島レポート』は、その筋の人々にはよく知られたキーワードとなっているようだ。解せぬ。


 2年目に新たに知り合った人々もいて、3年目は更ににぎやかに…と、現実世界の自宅で考えていた時、運営の会社からメッセージが届く。

 件名は『予定変更のお願い』。またか、と思って本文を眺めた時、俺は顔をしかめる。


『国際宇宙開発機構』


 という、俺にとっては縁のなさそうな名前が記載されていたから―――。

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