Season5NAL(FIveNAL)
密書A 黒くて賢いあのあいつ
田園風景に包まれた町で人知れず営業する隠れた銭湯「釜茹で」。千両箱の形をした建物の頭についた煙突からは、訪れる客が少ないというのに、飽きることなく蒸気が上っている。入り口の暖簾を潜り、出迎える番頭に入場料+5円を払うと、スタッフルーム奥の階段へと足を運ぶことができ、そこから地下へと行ける。階段を最下まで降り、現れたドアを開けば、巨大な大釜が目に入る。ごく一部の人間しか知らない隠れた混浴浴場がここだ。その巨大釜の中で茹でられながら、自称義賊組「頑張励」の4人が、日々、世のため人のために情報を集めては共有し、人々の救済に向かっている。
いつもの会議が始まり、護衛門は仕入れてきた情報を3人に伝えようと、モッサリ頭から数枚の写真を取り出した。各々が見れるようにハムスター小娘に写真を手渡す。
「モンさん、これは?」
護衛門は鼻汗を掌で拭いながら、厳つい隈取メイクの顔を左右に何度も傾けた。
「おぅ、何枚かにぃ、怪しい奴がぁ写ってねえかぃ?」
「怪しい奴ねえ…。ただのゴミ捨て場にしか見えねえが?」
「カラス…。電柱から…覗く…。」
「おっ、さっすが佑助ぇ!観察眼はダントツだなぁ!」
護衛門は嬉しそうに佑助から写真を返してもらい、写真の一枚を皆に見えるように掲げ、一部分を指で小突いた。写真には高所から撮影したであろうゴミ捨て場の様子が写し出されていて、護衛門が指差す近くの電柱の足場には、捨てられた生ゴミを注視するカラスの姿があった。
「最近、写真にある町で、生ゴミの日にカラスが袋を破って食い散らかす問題が頻発してるらしいぜぃ!」
「カラスや野鳥によるゴミ荒らし問題は、今に始まったことじゃねえと思うけど。」
「それに、写真にもあるように、ネットを張ったり、施錠できる檻状のゴミ捨て場を導入したり…各自治体で対策されているはずよね?」
良く耳に聞く日常問題を持ってきた護衛門に首を傾げる二人。護衛門は大きく息を吐き、写真をモッサリ頭にしまった。
「二人が言うように、あちこちで何かしらの対策が講じられているし、オイラたちの出る幕じゃあねぇとは思う。だが、今回の件はちぃっと特殊でな。」
「特殊とは…何ぞ…?」
「人間の大人ぐれえの大きさの化けガラス出るらしいんでぃ…。そいつが鍵をこじ開け、網を破り、他のカラスが生ゴミ漁りをできるようにしているってぇ話よ。」
「大人サイズ!?旦那、遭遇したのか?」
「いや、オイラじゃねえ。ゴミ捨て場付近の住民が何人か目撃したらしい。」
「黒ずくめの不審者と…見間違えた…?」
「そうだとしても、不審人物がうろついているとなると、近所の人たちも気が気じゃないわよね…。」
「そういう訳で、この件、動いてみてもいいんじゃねぇかなって。」
護衛門が3人を一人ずつ見ると、全員が首を縦に振り、任務に賛同した。護衛門は壁に掛けてあった「金」と書かれた木札を二枚取り、皆の前に掲げる。
「今回は、不審人物にしてもカラスの化け物にしても、近所住民に被害を出さねえように、用心のために二人で行ってもらうぜぃ!」
護衛門が皆を見回すと、五円玉が木札を襲い、護衛門の手から湯船に一枚が落とされた。
「カラスは光り物が好きって言うし、俺の出番じゃねえかな?」
「おぅ、凸!行ってくれるか!頼んだぜぃ!」
護衛門が落ちた木札を拾い、凸三に投げると、受け取ろうと手を伸ばした凸三の前に佑助が割り込み、札をキャッチした。
「なっ!?佑助ぇ!?」
「化けガラスならば…連れ帰り…忍烏に育てる…!」
「ははは!おめぇらしいなぁ!よし、佑助!おめぇも行ってきな!」
「応…。」
残りの札を護衛門から受け取り、凸三は佑助と共に任務へと向かうのであった。
カラス被害に苦しむとある町。その中心にある公園の木陰で、凸三はタブレットを手に、画面を何度もスライドさせながら注視していた。その様子を木の上に潜む佑助が黙って見守る。しばらく手と目を動かしていた凸三だったが、ふと、画面を送る手を止め、拡大するように指を動かし、目を凝らす。
「出たぞ、佑助!おめえのお眼鏡に適いそうなやつだ!」
「うむ…!」
凸三は、着物の袖にタブレットをしまい、どこかへと走り出した。佑助も近くの家の屋根を跳び伝いながら、凸三の背を追った。
数分後、凸三たちが到着したのはとあるゴミ捨て場。網目状の金属でできた小屋にゴミを収納しておくタイプのものだ。入り口には厳重に錠前と暗証番号の二重ロックが施されているが、錠前の方は既に突破されていた。
「うおお、画面で見るよりも迫力があるぜ…。」
「応…。」
圧倒する二人の前に姿を表したのは、護衛門が話していたとおり、大人ほどの大きさの体に、頭に一本のアホ毛、目の周囲に青い模様の入った黒翼のカラスだった。否、果たしてこれをカラスと呼んでいいのだろうか。恐らく、二人も感じているであろうその疑問の訳は、カラスの顔と体を見てみればすぐに分かる。羽の付け根に生えた二本の手腕、地を力強く踏みしめる筋肉質な足脚。そして色の異なる下顎。肌色を呈したそれらは、誰がどう見ても人間のものにしか見えなかった。
「おい、佑助。あっ、あれって、中に人、入ってるよな…?」
「応…。着ぐるみかもしれぬ…。」
佑助は残念そうに肩を落としながらも、凸三と共に、カラスだか不審者だかよくわからない多分不審者の成敗に乗り出した。
「やいやいそこの不審人物!!」
「?」
不審野郎は、紙に何かを書く手を止め、凸三と佑助に目を向ける。すると、目を輝かせて体を揺すり、走って近付いてきた。二人はすかさず警戒して身構える。凸三の目の前まで来ると不審者は立ち止まり、手を差し出した。
「なっ、なんだ!?いきなりやるってぇのか!?」
「なっ、なんだ!?いきなりやるってぇのか!?」
不審者は、何故か凸三の言葉をオウム返しすると、彼の手を握り、ぶんぶんと上下に振った。嬉しそうに目を細めている。
「なっ!?なんだよ!?おめえ何がしてえんだよ!?」
「なっ!?なんだよ!?おめえ何がしてえんだよ!?」
再び同じ言葉を返し、凸三から手を離してお辞儀すると、今度は佑助の前に立ち、同じように彼の手を握ってぶんぶん振った。
「おっ、応…?」
「おっ、応…?」
カラスみたいな不審者は、佑助の手を離すと、一礼して再びゴミ捨て場の前に戻り、紙を取り出して、手を動かし始めた。二人は顔を見合わせ、ゆっくりと不審者に近付き、手元を覗き込む。すると、そこには4桁の暗証番号を割り出しているのだろう、数字がびっしり書き込まれていた。第二ロックの番号を住民が忘れた時のため用に、ゴミ捨て場の入り口には住民しか分からないヒントが貼られていた。それを元に、ロック解除の番号を割り出していたのだ。凸三は呆れた様子で、もしやと思い、外された錠前を拾い上げる。全体を確認すると、案の定、壊された形跡は無く、ピッキングされたのか、普通に開錠されていた。妙に仕事が丁寧なゴミ荒らしに、凸三は溜息を吐きながら、肩を叩いて話しかける。
「あのよぉ、分かってると思うが、おめえさんの所業で近所の住民が迷惑してんだ。ここは俺の顔に免じて許してやるから、今すぐに馬鹿な真似はやめて、考えを改めな。」
「あのよぉ、分かってると思うが、おめえさんの所業で近所の住民が迷惑してんだ。ここは俺の顔に免じて許してやるから、今すぐに馬鹿な真似はやめて、考えを改めな。」
「痛っ!?何しやがる!!」
何故かカラスっぽいのは、頬をうっすらと赤らめ、凸三の頬を嘴で一突きすると、両手で自分の頬を押さえて、恥ずかしそうに内股で走り出した。助走をつけて、地を蹴り上げると、黒翼を大きく羽ばたかせ、どこかへ飛び去っていった。
「なっ、なんだ…あいつ…?」
「うむ…。」
飛翔するカラスのような人のような変な生き物の消えた先を見つめながら、二人はただ呆然と立ち尽くしていた。
数日後、釜茹でに戻ってきた二人は、木札を番頭に渡すが、報酬を受け取ろうとはしなかった。番頭は首を傾げながらアタッシュケースを二人に差し出すが、二人は頑なに受け取りを拒んだ。
「二人ともどうした?二人の活躍のおかげで、噂の怪鳥が姿を見せなくなったんだろう?」
「いや、それが…。俺らがどうこうしたわけじゃなく、相対した奴が勝手にどこかに行っちまって…。」
「気掛かりで…数日の監視をしたが…待ち人来ず…。」
「ほぅ、珍妙なこともあるもんだなぁ。なんにせよ、任務に行ったのに何も受け取らねえってぇのはこちらの面目丸潰れよ!代わりにこれでも飲んでくれ。」
アタッシュケースの代わりに瓶牛乳が差し出されると、二人は顔を合わせて、申し訳なさそうにそれを受け取った。
「しかし、密かにゴミ捨て場に仕込んでおいた五円玉型の監視カメラや光を良く反射する特殊五円玉の罠にも掛かることなく、野郎、どこへ消えやがったのか…。」
「別の場所に移ったか…。或いは…素直に諦めたか…。」
「後者であることを願いたいもんだ。ひとまず二人とも、お疲れさん!」
番頭が瓶牛乳を掲げたのを合図に、二人は自分の瓶牛乳を番頭のそれに軽く打ち付け、乾杯した。
謎の不審者の正体は分からなかったものの、無事にゴミ荒らし事件を解決した頑張励。例え相手が魑魅魍魎であったとしても、彼らは人々の笑顔を守るために、果敢に任務に臨むのだ。
☆デイモン・ヨゥディのトゥリービャ☆
やあ、足指の爪を切るときは、爽快感が少なそうな小指の爪から始めちゃう、計算高いみんな!
トゥーリッホァ!!
落ち葉を額にペタリと付けて、「前頭葉!!」と叫ぶ習慣を日本文化の風習にしたい民族学のハイブリッド、デイモンだよっ!
みんなはお正月に食べるお餅って、何が好き?海苔かな?揚げもいいよね?信玄餅?
デイモンはね、ごま塩をかけて海苔で巻く、餅にぎりが好きだよ!
でも、今回のメインテーマはそこじゃないんだ!悔しいね!
お餅と言えば、忘れちゃいけないのが、きな粉餅!和の甘味極まる極上スイーツだね!
でも、きな粉を出しすぎて、お餅は食べちゃったのにいっぱい残っちゃった…なんてこと、よくあるよね!豆腐に醤油をかけて、お皿に醤油が余っちゃった!みたいなアレ!なんか勿体無いよね!
かといってまた入れ物に戻すのも、潔癖症のみんな的には目に余る行為だよね!
そこで、余ったきな粉の有効活用法をデイモンが教えてあげる!お餅を食べ終えてすぐに手軽に出来ちゃう魔法がこちら!
牛乳を加熱可能なカップに注いで、そこに余ったきな粉を入れるよ!後はレンジとかで牛乳を温めて…はい完成!良くかき混ぜれば、冬場に美味しいホットきな粉ミルクの出来上がり!ミルクの甘味ときな粉甘たんがベストマッチだよ!勿論、温めずに冷たい牛乳でやっても、いっぱいかき混ぜればミックス感は得られるけどね!そうそう、温める時、吹き零れの心配がある人は、牛乳を先に温めてから後できな粉を入れるといいかもね!
ただしここで注意!!温めても混ぜても、きな粉を完全に溶かすことは出来ないから、喉に細かい粒が引っ掛かってむせないように気を付けて飲んでね!!普段からむせやすい人や肺に誤飲し易い人は絶対やらないでね!命を懸けてまで楽しむほどのものじゃないからね!命を大事に!
他にも、パンにバターを塗って、その上に振りかけて食べても美味しいかも!お腹に余裕があれば、あんこ餅やおしるこにきな粉を混ぜても美味しいかもね!!
次回も、ちょっぴり役に立つかもしれない豆情報をお届け!
それではみなさん…
トゥーリッホァ!
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