第100話

「さあ!」

 来ました来ました!

 何が来たって?決まっているでしょう。

 海といえば、水着!

 輝く太陽!まぶしい水着女子!!


 そして、眼前に見えるのは、


「「「「「「申し訳ございませんでした!」」」」」」


 土下座しているおっさんたちだった。

 どうしてこうなった・・・

 いや、確かに俺のせい?いやいやそんなことは・・・

 え?じゃあ、振り返ってみましょう?

 よかろう!

 これで俺が無罪であることを証明してやりますよ!

 ってことで回想スタート!!



 それは、この海に到着したときにさかのぼる。

「ついに来ましたね」

「・・・ここまできたら仕方がないですね」

「ふふ、その通りじゃ」

「初めて見ました、海」

『なかなかキレイなものだな』

「海に来るの、討伐以来」

 ああ、やっとだ・・・異世界にきてやっとこのイベントにたどり着いた・・・

 なぜか、お色気や変態の餌食に遭うことはあったが、適度のサービスシーンはなかった。

 ああ!!ビバ!!!!

 ヒロイン陣のみ・ず・ぎ!!!!!!

 今までは戦ってはちぎって戦ってはちぎって。

 なぜか最近はムキムキの男に囲まれて汗だくになるわで散々だったが・・・

「ついにきたー!!!!!!!!」

「テンション高いですね。私が下着で迫ってもこうはならないのに」

 うるさい、変態女神。

「ひどい!でも、久々にそう言われるのもなかなか・・・」

 うっとりスンナ。

「でも、私の水着でもテンションはあがっていますよね?」

「・・・」

 そういってこちらをあざとく見る変態アストレア

 変態アストレアが着ているのはビキニタイプ。

 オレンジ色でなかなかきわどい。

 言われて少し癪だが事実だな。

 悔しいが美女だからな。

 女神というだけあって銀の髪をなびかせて、スタイルのよさが際立っている。

 やっぱりその絶妙なサイズの美乳だからか?

 白い肌がほんのり赤みを帯びて・・・ん?

「あ、あの・・・そのくらいに・・・」

 あ、しまった。心読まれてたの忘れてた。

「いや、久々にストレートに褒められるとですね、嬉しすぎて、へう・・・」

 おいおい、全裸で突貫してくる奴が今更。

「それとこれとはべつですううううううう!!!!!」

 そう叫んで俺の方から逃げるアストレア。

「・・・これからはべた褒めすればいいのか」

 ・・・いや調子乗るからやめておこう。

「いやあ、なかなか面白いものを見せてもらったのお」

 そう言ってゆっくりと俺の横に座ってきたのはハク。

 ハクの水着は白と黒でビキニタイプなのだが、腰のあたりには紫色の長いパレオをつけている。

 銀の髪はアストレアと同じく相変わらずきれいだ。

 アストレアとの違いと言えば、巨乳だということだ。

 そこはかとなく色っぽいのも仕草の問題か。

 足を組みなおす仕草がこんなにグッとくるとは。

 え?それは俺の性癖だって?

 そんなことは・・・ない。

 うん、ないよ?

 そんなことを考えているうちにハクのことをすっと見ていたようで、

「そんなにじっくり見られると恥ずかしいのじゃが」

 とハクにしてはアストレア同様に珍しく少し照れてこっちを見て言った。

「ん、ああ、すまん」

 しまった、またいろいろと考えながら見てしまった。

 今回は一応障害になりそうなものは取り除いたからつい安心しちまう。

「しかし、旦那様は本当に規格外じゃな」

 俺の緩みっぷりが伝わったのか、少し苦笑いをしながらハクはそう言ってくる。

「ん?何がだ?」

 ハクの苦笑いの理由が分からず、そう答える俺。

 ちょ、やっぱりわかってないのじゃってボソッていうのやめい。

「旦那様、普通は個人の魔法で人払いと認識阻害の魔法空間は作れんのじゃよ」

 ああ。そういうことか。

「ああ、これのことか」

 そう言って俺はあたりを見回す。

 今回の俺は確実にこの水着回を逃さないために様々な対策を施しているのだ。

 その一つがハクが言っている魔法空間。

 もちろん、海は本物だ。

 しかし、俺らが確実に遊んでいる姿が見つかれば、確実に何かトラブルに巻き込まれるに決まっている。

 ゆえにこの魔法空間を作ったのだ。

「全く人が入れないようになっているのじゃな」

「おう!この空間に入ろうとした奴はなぜか分からないうちに別の方向に向かって移動しようとするんだよ。そして、うっかりここに入ってこようとするものがいれば、空間魔法の応用でこの空間を通り過ぎるように無意識のうちに転移しちまうって魔法さ」

「・・・どんだけ必死なんじゃ」

 うるさいやい。

「・・・しかし、本当に誰一人入ってこれんのかの」

「ん?疑ってんのか??」

「いや、そんなことは・・・ただ旦那様がトラブルに巻き込まれないようにしたとしても巻き込まれるはずじゃから、もしかしたらと」

「ひとを何だと思っているんだよ」

 そんな毎回首つっこまないっつの。

「大丈夫だよ。よっぽどのことない限りな」

「よっぽどのこと?」

「ああ、例えば、海で気絶して流されてたまたま波に流されるようなやつ」

「・・・」

 おい、なんでそんな目で見るんだよ。

 え?フラグ??

 いやいや、そんなこと・・・ない・・・よな?

 少し不安になったが、ないないとそこを改善しようとはしなかった。


 ・・・そして、後にそのことを後悔することになるとは俺は思わないでいたのだった。

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