第94話
そのミアの頬にはあきらかに新しくついた赤み。
俺の攻撃じゃそんなひっぱたいたような跡はつかない。
だったらそれは。
目の前には冷たくミアを見据える剣鬼がいた。
「何手を抜いてんだ。剣鬼と魔女の娘がそんなことでどうする」
「・・・ごめんなさい」
状況が急展開すぎる、まさかとは思ったが本当に俺が嫌いなタイプの両親だってのか・・・
「おい、何やってんだよ」
「ああ?見てわかんねえのか」
見てわかるだと。娘が親にひっぱたかれている理由が今の状況の中でわかるって言いたいのか。
「お、おいハルオミ・・・?」
「見てわかんねえから聞いてんだ、答えろよ」
「ああ!?そりゃあ、剣鬼と魔女の娘がボロボロにされてどうするんだって話なんだよ!」
剣鬼と魔女の娘だからってなんだ?
「そうよ!!私たちが鍛え上げたのよ!!どんな強者にも圧倒的に負けることは許されないのよ!!」
・・・は?
こいつらはいったい何を言ってるんだ??
「当たり前だろうが!剣鬼は常に強者だ!!絶対的に強いのが当たり前なんだよ!だから、ひたすら強くした!!」
「魔力も鍛えたのよ!!素晴らしいでしょ!!」
「・・・」
「魔力の継承がうまくいっちまった親の典型だな。たまにあるんだよ、自分の子供がレア職業になったときにあるんだよ。昔はそういうのも実験もあっ・・・お前」
ミアの顔はうつむいて見えない。
「そして、『魔剣姫』という職業だ。その時点で、職業は親の力、一族の力によって強くなるのだと気づいたんだよ!!ひたすらひたすらにだ!これが天命だと思った!!我らが一族がさらに最強になる「少し黙れ」た・・・め・・・に?」
俺はゆっくりとミアの方に向く。
「・・・それは、ミアが本当にしたいことなのか?」
「・・・っ!」
「なあ、答えろよ」
「わ、私は・・・」
「ハルオミ!魔力!!魔力を抑えろ!!ただでさえ威圧されてつらいんだよ、こっちは・・・」
俺の言葉に少し動揺するミア。
さっきの言葉を思い出したのだろう。
俺はミアが口を開こうとするのを待とうとしたが。
しかし、それに気づかない剣鬼は。
「そんなのは当たり前だ!!ミアは生まれた時からそういう運命だったんだよ!!」
俺の逆鱗に触れた。
「もういい」
「あ?ああ??ああああ?!?!」
そして、俺はゴウガの右腕を吹き飛ばした。
「があああ!!俺の腕があ!!!」
「うるさい。わめくな」
まったく本当に俺にからんでくるやつは本当に苛立つ。
「チェンジ」
「え」
「きゃ」
俺は、ミアと魔女の位置を入れ替える。
「おい、
「なに・・・よ」
「早く剣鬼の傷を治せ」
「ひい・・・!!」
何をびびってんだ。
「あ・・・ああ?!てめえか消し飛ばしたんだろ!!」
「その女子どもをはたくような腕、一回吹き飛ばしておきたかったんだよ」
「なあ?!」
「なんならもう片方も吹き飛ばしてやるよ」
「く・・・レイナ・・・頼む」
「で、でも・・・」
「いいから治せ」
「ひ・・・!」
俺に気圧されてすぐに
少しずつほぼ完全に治っていく腕。
再生魔法を持っていることはわかっていたから問題はないだろう。
さてと、アストレア。
(いかがなさいましたか)
さすがだな。みんなの状況を報告。
(みなさん、避難が終わりました。その付近の住民も避難してもらえました)
おお。ナイスだな。今からもっと派手に暴れるから。
(・・・状況は確認していたのでわかりますが・・・ヘファスさんにも言っておいた方が・・・)
あ、確かに。
「ヘファス」
「お、おう。どうした?」
「今からここ一帯全部焼け野原になるから」
「は?!ちょ」
「テレポート」
・・・これでOK。
(・・・後で怒られても知らないですよ。それと先ほどそちらに行こうとしたジーク様はこちら来るように言ったので結界の外にいます)
助かる。
(魔剣姫の方はどうしますか?)
ここに置いておく。ちゃんとこいつの口でどう思ってんのか、言わせたいしな。
(分かりました。こちらは任せてください。ただ・・・)
なんだ?
(あとで私とシルちゃんにご褒美ください)
・・・こいつ・・・
(だって、今回は私たち真面目にがんばりましたよ・・・)
・・・分かったよ。ただし、俺の無理そうなやつは却下な。
(わっかりましーた!)
ったく・・・なかなか強かだよな。
(ハルオミ様?)
なんでもないよ。そろそろこっちも始めるからあとよろしく。
(はい、旦那様)
・・・あとで覚えてろよ。
(アン!)
喘ぐんじゃねえよ!!
まったく・・・
「くそがあああ」
さて、戦闘開始だ。
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