第86話
side ハルオミ
「さてと」
あっちは大丈夫そうだな。
でこっちは・・・
「ユリア」
「は、はい、ご主人様」
「現状」
「は、はい!タウ様はご主人様特製のポーションを飲み、傷は完全に塞がっています。現在は体力を消耗しており、眠っております!」
そうやって敬礼をしながらもタウを膝から降ろさないところはさすがだな。
あとで頭を撫でてやろう。
・・・タウは本当に消耗しているな。
いったい何をされたのか。
「確認してみるか」
「へ?」
「ユリア、そのまま動くなよ」
そういって俺はタウの頭に手をのせる。
「メモリリーディング」
とこんな感じなのか。
今まで使ったことなかったのだが、意外とびっくりだな。
こんな感じで記憶が流れてくるのか。
メモリリーディング・・・対象に触れることでそのものの記憶を読み取ることができる魔法。
「ご主人様?」
・・・なるほどな。
確かにこれならタウが焦って鈍くなるわけだ。
前からそういう部分は不安定だったからな。
それにしてもだ。
「ひっ!!!」
本当にくだらない理由でめちゃくちゃにしてくれたものだな。
「ご、ご主人様・・・」
おっと、しまった魔力がもれてしまった。
「すまん、ちょっと感情的になった」
だめだな、昔から身内のことになるとカッとなってしまう。
「いつの間にそんな魔力を・・・」
「ああ、なんやかんやひとりでダンジョンに通ってんだよ」
「な、そんな情報今まで入ってきていな・・・あ」
「やっぱりな」
「す、すみません!」
めちゃくちゃ怯えてるなあ。
そんなに日ごろ怖いか俺?
「で、誰の差し金だ?」
「・・・いえ、これは私が個人的に調査するために人員を割きました」
なるほどな。
自分じゃ何もできないからできるだけ状態をつかんでおきたかったって感じなのか。
まあ、そんなことより、まずはこっちだ。
「大丈夫だ、危害はくわえてこなかったから悪いようにはしねえよ」
「・・・ふう」
だが。
「でも、一つ質問だ」
「な、なんでしょうか」
「その諜報部員の中に剣鬼のやつと仲がいい奴いるか」
「ええと」
「焦らなくていい」
「・・・確か一人、剣鬼と飲み友達になったと最近話していた・・・ってもしかして」
さすがにユリアも気づいたか。
「要するにそいつが俺らの情報を流していたってわけだな」
「・・・・!!!」
「あとでそいつの名前教えてくれ」
「・・・分かりました」
「なかなか物分かりがいいじゃん」
「拒否しても無駄でしょう」
よくわかっているな。
「それに今回はこちらの不手際ですので」
こういうときだけちゃんとギルド長なんだよなあ。
いつもこうだとパルムさんも少しは楽だろうに。
っとこんなことしてる場合じゃなかった。
「じゃ、ユリア。タウを頼む」
「先ほどの件許して下さるなら」
・・・ちゃっかりしてるな。
まあいいか。
さてと。
「この茶番を終わらせに行きますか」
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