第35話
「パパー!」
「あのな、シル。せめてお兄ちゃんとかにしてくれないか?」
「や!」
「や・・・って」
「ね、ねえシルちゃん!私のことアストレアお姉ちゃんと・・・」
「や!」
「うう・・・」
「ふふ、愉快だの。なあ?旦那様?」
「ハク、それやめてくれって・・・」
「パパー!」
「うーん・・・」
そう今の俺の悩みはこの子が俺のことを父親のように言ってくることなのだ。見た目は大体5歳くらい。ハクと同じ銀色の髪、長い髪。長かったらからツーサイドアップ?ってやつにしている。
この子はハクのそばにいた小さい龍。ハク、クイーンエンシェントドラゴンの子どもだけあってステータスはハクの下位互換みたいだった。で、最初は名前もなかったのだが、それでは町に行ったときになんて呼んだらいいのかわからないなという話になったので俺がシルと名付けた。すると、人化した直後に一言。
「パパー!」
という顛末である。なんでも名前をつけてくれたのと魔力の大きさで俺を父親だと思ったらしい。ここ何日間かどうにかその呼び方をやめてもらおうとしたのだが・・・
この始末である。
「まあ・・・もういいか」
「さすが旦那様、懐が広いのお」
「ハク、せめてお前はそれやめてくれ」
「シルと同じように言うならや!じゃ」
「子供かよ」
まったく。まさか18歳で子持ちになるとは・・・まあ、うちの子は可愛いということですべて丸く収まるな。
「ぱぱー?」
「ん?どうした、シル?」
「私の、服?どう?」
「おお、そうだったな。うん、いいな。誰のセンスだ」
「あ、私ですよ」
シルが着ているのは、白いワンピース。人化はできたのだがまだ慣れていない関係もあって作れないらしい。さすがに服がないと困るし、買いに行ってもらった。タウの背中に背負っているリュックサックの中いっぱいに買ったみたいだから心配ないみたいだな。しかし、アストレアが選んでだと・・・
「なんで不満そうなんでしょうか」
「いつもの行いじゃないかのお」
「ですね」
「おう」
「皆さんひどいですよ!」
だってなあ。
「まあ、それはともかくだ。今後の予定なんだが・・・どうするかねえ」
ヘファスが来るまでは当分は訓練かなあ・・・
そんなことを思っていたら、ハクがゆっくりと立ち上がった。
「では、まずは私と手合わせするか?」
・・・おお?
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