Second memory 41
= second memory 41 =
テロのことは、いろんなことがわかり出している。私は動けないから情報を得ることができないけれど、ゴリが毎晩きてくれる。am2時頃に。
カバも一度来てくれた。泣いていた。そして謝ってくれる。自分が車で送ったらよかったって。
一緒だよ。ごめんね、心配かけて。心配ばっかりかけて。
ほんとは毎晩来たいけど、さすがにこんな時間に来れるのは一人だからって。ゴリが来た方がSHINの情報も伝えられるからって。
『早く退院して、SHELLEYで話しましょ。』
って。
すごいと思った。状況も私の気持ちも、私の状態も、すべてを考えて引くことができる。譲ることができる。ゆっくりと頭を撫でてくれるカバに頷きながら、こんな風に人を愛せるようになりたいとぼんやり思っていた。
お母さんに毎日来なくていいって言った。仕事もあるし、家のこともあるんだから。完全看護だから大丈夫って。
退院後は家に帰ることになっているし。
お兄ちゃんもほとんど毎日来てくれたから、お兄ちゃんにもいいって言った。
お母さんはお兄ちゃんに、SHINの仕事のことを話したみたいだ。
『俺は絶対反対やからな。お前を一番にできへんヤツに、任せられるはずないやろ!』
って言ってる。それは悲しいよ。
佐々田部長は、謝ってくれた。
『二つ返事で、すぐに動いてくれる朋に頼りすぎていたな。本当にすまなかった。これからは手の抜き方も教えるから、元気になって帰ってきてくれ。』
って。すみません。仕事だけが原因ではないんです。ありがとうございます。
真鍋さんは花を持ってきてくれた。ガーベラ。
その花を見て思い出した。SHINの部屋に飾ったガーベラ。きっとだめになってる。ゴリに頼んで捨ててもらわなきゃ。
珈琲はまずくならないうちに、SHINが帰ってきますように。
毎日来てくれるゴリは、必ず最初に
『生きてるから。』
って言ってくれる。それを聞いて眠れる。
退院して、家に帰ったらゴリはどうやって伝えてくれるのかな。メール?でもメールの文字だと、ゴリの顔を見て感じる安心感は得られないのかもしれない。
SHINからのメールはこない。私も写真もメールも送れていない。繋がったとき、私からなにも届いてなかったらSHINはがっかりするかな。でも右手にはあいかわらず点滴がある。
ふとツーちゃんの言葉を思い出す。
『cherryの方が自転車に牽かれて死ぬかもしれない!』
ほんとにそうだね。元気にしてるかな、ツーちゃんは。
一人暮らしを続けることは許してもらえなかった。でもSHINが帰ってくるまではあの部屋を残しておきたい。退院後は家に帰るけれど、あの部屋はしばらく借りておけるようにお父さんに頼んだ。必ず帰るからって。
SHINが生きて帰ってくるまでって話はしていない。
お母さんとお兄ちゃんには、お父さんにSHINのことは言わないでって頼んである。お兄ちゃんと同じことを言うに決まってるから。いずれ、私がSHINと結婚する時にきちんと話したい。こんな時じゃなくて。
明日退院する。それから一週間は自宅療養。1ヶ月も会社を休むことになってしまった。佐々田部長が問題なく処理しているから、安心して帰ってきなさいと言ってくださった。本当にお世話になりっぱなしだ。
2時に来てくれたゴリが、今後の報告はメールでと言ってくれた。やっぱりそうだよね。
今日もみんな生きてる。でも詳しいことは教えてくれない。入院してから新聞も読んでいない。知りたい。ゴリが詳しく説明してくれないから余計に。
『まずは生きていることがわかればいいでしょ?次はあんたの体。』
多分、私にとってよくない状態に、世界が動いているんだね。
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