第122段 山代の堰堤の玉水
昔、ある男が、約束したことを守らなかった人に、
山城国の井手の玉水を手に結ぶように、あなたの手を取って、あなたを頼りにした甲斐もない世の中です。
と言ってやったが、返事も無かった。
【定家本】
昔おとこ。ちぎれることあやまれる人に。
山城の 井手の玉水 てにくみて たのみしかひも なき世成けり
かういへど。いらへず。
【朱雀院塗籠本】
昔おとこ。ちぎれることあやまれる人に。
山城の 井手の玉水 てにくみて たのみしかひも なき世成けり
かういへど。いらへず。
【真名本】
昔、男、契れる言
と云ひ遣れど、
【解説】
手に汲む水と「頼む」と「手飲む」がかけてある。
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