91.Sな彼女とNな彼

朔くんが総務部の舞と一緒に


アルバムを持って帰ってきた。




「パーティーの準備は総務がやるから、幹事の仕事は連絡係と仕切り役だよ」



舞が昨年のタイムスケジュールやリストを


ファイルから取り出す。



「じゃあ、朔くんがリーダーでも大丈夫?」



「出来るとは思うけど、実結がやった方がいいんじゃない?」



順番的には北山さんだけど~と舞は


哀れんだ目で私を見た。



「私ハロウィン直前に泊まりの大阪出張で、何かあったら当日帰って来れないよ」



「それなら朔くんがリーダーで、実結はサブね」



サブも拒否したいが


朔くんに全部を押し付けられない。



「わかった。何すればいい?」



「今週中に出欠確認とくじ引きかな」



「くじ引き?」



「仮装が何人も被らないようにくじ引きで決まった衣装を着るってルールなんだよ」



「そうなんだ」



舞が朔くんからアルバムを奪って


パラパラとめくって見せた。



「人気があるのは、メイドとか魔女とか。谷本さんたちはセクシー系がいいって言うから、ミニスカポリスもあるよ」



「へー、可愛いね」



三鷹さんは女豹だったのか。


似合いすぎるでしょ。



「おじさん達は被り物で、若い男子はアニメキャラかな。女子の希望で(笑)」



おじさん達の扱いがヒドイ(笑)。



「これって自前で用意してるの?」



「経費で出るから、なるべく去年のを使い回してね。クリーニングして倉庫に保管してあるから、くじ引き前にはチェックしてね」



「ありがとう。早速準備に取り掛かるね」




朔くんが倉庫の鍵を借りに走って行った。




「あっ、あともう一つ」



「うん?」



「夜のイベントで、あおすけバンドが演奏するから、練習用に楽器を中会議室に運んでおいてって」



「あおすけバンドって何?」



「知らない?社長の趣味で社内でバンド組んでて、行事の時には演奏するんだよ」



舞がウンザリという顔をしたから


多分そんなに上手じゃない。



「あ、それ広報動画で見たかも」



「ギター兼ボーカルが社長で、キーボードが総務部長。ベースが松川課長で、ドラムは今年は朔くんがやるって聞いたよ」



「朔くんが?!」



意外だと言ったら失礼かな。



「うん。とりあえずはそんな感じで。わからないことは私か総務の誰かに聞いてくれたらいいから」



「ありがとう」





戻ってきた朔くんと倉庫に向かった。




綺麗に整頓されている衣装ケースを


片っ端から開けてみる。




「どれも今年も使えそうだね」




「本当っすね」




「この女豹……もし私がくじ引きで当たったら着るの?」




体のラインがくっきり出る上に網タイツ。




「実結さん似合うと思いますよ」




「いやいや、無理だから」




仮装リストから除外しておこう。




「セーラー服も厳しいなあ」




「えっ、それは残しましょうよ」




「やだよ(笑)。恥ずかしい」




「絶対可愛いですよ」




二人で仮装に使う衣装を選んで


出欠確認の後


足りない分は買い足すことにした。





週末にはくじ引き。





私は最後の一枚を引いた。





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