90.Sな彼女とNな彼

秋の気配が濃くなる頃


名探偵マミヤが追っているのは


朔くんと北山さんの関係だった。




他人の恋路に首を突っ込む気はないけれど


王子ファンが一人でも減るのなら


北山さんの恋を応援したい。




でも、この二人が一緒にいるところは


あまり見掛けない。




西川さんの見間違いだったんじゃ?




最近の変化といえば


北山さんが「間宮さん」から「実結ちゃん」に


私の呼び方を変えたことくらいで


朔くんは特に変化はない。




あの日に帰りが一緒になっただけ、かな。






「ねえ、朔くんって彼女いるの?」




サインを探しても見つからなくて


甘いストレートど真ん中の直球を投げた。




「いますよ、一応」




「どんな子なの?」




綺麗なお姉さんって感じだよね。



期待が膨らむ。




「大学のゼミの後輩です」




え~?北山さんじゃない?!




「あー、まだ女子大生か。若いっていいねえ」




そっかあ。北山さんじゃないのか。




「最近は喧嘩ばっかで疲れます」




残念。




「朔くんはツーリング減らして彼女に会いに行った方がいいんじゃないかな」




晴れの土日はバイクに乗ってばかりで


よくお土産を買ってきてくれる。




「実結さんは彼氏と別れてますよね?」




「えっ?! どうして知ってるの?」




「やっぱり(笑)」




あ、うっかり口を滑らせた。




「面倒だから他の人には内緒にしてね」




「わかりました」




「でも、何で知ってるの?」




同僚はもちろん友達や家族にも言ってない。




「実結さんが彼氏から貰った物なんだって言ってた物が盆明けから全部なくなってます(笑)」




「えっ、やだ(笑)」




デスクに置いてあったペン立てや置き物も


引き出しに入れていたシュシュやピンも


勢いで全部捨ててしまった。




「それで西川さんと付き合い始めたんですか?」




「だから違うってば(笑)」




朔くんが意外と鋭くて



名探偵マミヤの秘密が反対に暴かれる。




「実結さんはわかりやすいですよね」




「えっ、な、何が?!」




「色々です。あ、そうそう社内のハロウィンパーティーの案内が出てますよ」




「ハロウィン?」




社内ネットの掲示板を見ると



『10月31日(金)ハロウィンナイト』



と題して詳細が書かれていた。




「五時~六時まで社内でパーティーをして、六時から市民広場で地域主催のイベントに参加らしいっす」




「ちゃんと仮装もするんだ。楽しそう」




「で、うちの課が今年は幹事らしいんです。北山さんにリーダーを頼まれてOKしたんですけど、リーダーって何するんですか?」




「へっ?知らないよ。私も本社勤務は今年が初めてだし……」




まさか北山さん、


リーダーを押し付けるために


朔くんに近づいた?!




「あ、そうでしたね。とりあえず去年どんなパーティーだったか総務部に聞いてきます」




「うん。行ってらっしゃい」





パソコンの画面には



様々な仮装をしている皆の集合写真が



楽しそうに映し出されていた。













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます