83.Sな彼女とNな彼

午後。




西川さんと朔くんと私の三人で



ミーティングルームに



打ち合わせに入った。




「マミヤちゃん、朔、こっち来て」




ノートパソコンを開いて



西川さんが私たちを手招きした。




彼を真ん中に挟んで座って


画面に映し出された資料を見ながら


調整を加える。




ふと彼から良い匂いがした。



キャナロアの香水かな?



ホワイトムスクの魅惑の香り。




男の人にしては珍しい……




あっ!



これ、三鷹さん愛用の香りだ。




気付いてしまうと



気になってしまう。




彼の肩についている



ベージュブラウンの長い髪を



そっとつまんだ。




これも三鷹さんだよね。




密着しない限りは



香りも髪もつくはずない。




二人は昼休みにどこで何を?




名探偵マミヤの事件簿。




今朝、三鷹さんは西川さんに


ランチの店を予約したと言っていた。



このオフィス街では個室のある飲食店が多く


いかがわしい事をしようと思えば


できなくはない。



証拠となる香りや髪。



それに



彼の肌に残っているラメ。



光に反射してキラキラと……





「マミヤちゃん、聞いてる?」




西川さんと朔くんが私をじっと見ている。




「えっ、あっ、すみません」




全く聞いてませんでした。




「難しい顔して何考えてたん?(笑)」




「実結さん完全に別世界に行ってましたね(笑)」




「本当にすみません」




疑惑の二人を追い掛けてました。




「ちょっと休憩やな」




「僕コンビニまで行って来ていいですか?」




「ほな、今の間にマミヤちゃんはおさらいタイムにしよっか」





朔くんが部屋を出ていくと



西川さんは私の方へ向き直った。





「で?俺の話も聞かんと何を考えてたん?」




「いや、別に」




「別にって顔してないやん」




「何でもありません」




プイッと顔を横に向けた。




「子供か(笑)。ほら、ちゃんと言わんとわからんやろ?」




三鷹さんと何してたんですか。



なんて言えるはずもなくて黙った。




「黙ってたら、ちゅーするけど?」





「やめてっ……」




ください、と言おうとした時に


気が付いた。




彼の肌に残っているラメ。




光に反射してキラキラと輝いてるのは




リップグロス。





素肌の上で事件は起きていた。












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