52.Sな彼女とNな彼

イベントは滞りなく進み


最後のあおすけとの写真会も


盛況に終わった。




後片付けも全員が手伝ってくれて


予定より早く終わらせることが出来た。




「今日は本当にありがとうございました」




解散の挨拶を済ませて


スタッフを見送った後


エレベーターへ向かう。




ボタンを押して待っている間に


課長に完了報告のメールを送った。




何度か大きく深呼吸して


西川さんにもメールを送る。




『終わりましたよ。今どこにいますか?』




エレベーターのドアが開く。




『後ろ』




うしろ?




「えっ?!」




振り向くと


悪戯っぽく笑う西川さんが




「そない驚かんでもええやん(笑)。ま、とりあえず乗ろっか」




私の肩を軽く抱いて


エレベーターへと乗り込んだ。




肩から離した手で


階数ボタンを押す長い指先が


『閉』ボタンを押す前に


ドアが静かに閉まる。




「マミヤちゃん、腹減ってるよな?」




頷いて瞳を見つめ返す。




「それよりいつの間に私の背後にいたんですか?」




「深呼吸してる間かな(笑)」




うっ。やっぱり。




「見てたんですか」




恥ずかしくて視線を逸らした。




「俺にメールすんのに緊張してたん~?」




覗き込んで来る顔を


睨み付けた。




「違います」




ふっと笑って西川さんは


「冗談やから(笑)。さ、降りるで」


すいっと先に出て


片足と手で開いたドアを押さえる。




手慣れたエスコートは


いつだって嬉しい。




差し伸べられた手を


握ってしまいそうになる。




その手を交わすように


エレベーターから降りた。











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