55.Sな彼女とドSな彼
「嵐山の渡月橋を一緒に渡ったカップルは別れるらしいですよ」
「しょーもな。渡っても渡らんでも別れる奴は別れるし、別れへん奴は別れへんやろ」
俺は別れるカップル派やったけど。
何か悔しい。
サヤカと渡月橋を渡って散策する。
「西川さん、抹茶ソフト食べたいです」
「サーヤは食いもんばっかやな」
目に付く物を次々と食う。
昼飯済んだばっかりやろ。
「何食べてもウマーイ。あー、京都に住みたいかも」
「それどこ行っても同じこと言うやろ(笑)」
笑いながら
ソフトクリームを渡した。
「あれ? 西川さんは食べないんですか?」
「もう腹いっぱいやし、満腹なったら帰り眠なるからな」
また長時間の運転が待ってる。
「あ、ありがとうございます……」
サヤカがパクパク食べ始める。
ソフトって舐めるモンちゃうかった?
「ほんまウマそうに食うよなあ。見てて気持ちええわ(笑)」
食べる勢いに見入っていた。
するとサヤカがパッと顔を上げる。
「西川さんも一口いります?」
ソフトをこちらに向けた。
「え……」
「ん? 抹茶嫌いですか?」
「せやなくて。ソフトクリームやで?」
普通は嫌がらへん?
「ええ。それが何か?」
「気軽に一口ってシロモンちゃうやろ?」
「えっ?! まさか間接キスが……とか言うつもりですか? そんなん意識されたら逆に恥ずかしいんですけど!」
間接キスとか言うな。
「あほか! 人が気ぃ使ってんのに。もうええわ。貸せや」
「あっ……」
サヤカの腕を掴んで
ソフトクリームを一口食べる。
「確かにウマイよな〜。俺は別腹にはならんけどな!」
「なんてことを……」
食べ合いを躊躇する高校生の気分で
自分で自分が恥ずかしくなる。
甘さが口に残る。
胸の奥がこそばゆい。
サヤカがコーンまで食べ終えていた。
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