54.Sな彼女とドSな彼

俺の願い事は内緒な。




何を願えばええのか


実のところはようわからん。




鈴虫の鳴き声を聴きながら


出されたお茶を頂く。




お茶菓子に出されるのは


黒いツブツブの入った噂のアレ。




初心者の方は吹き出し注意。




住職さんの話は面白い。


毎度同じ内容やけど


人によってスキルの差がある。




「説法は誰がするかで面白さが違うんやで。今日の住職さんは話の仕方が上手いから当たりやな」




サヤカに耳打ちした。




咄嗟に身を引かれると


ちょっと傷付くんやけど。




説法中は何度も笑いが起きる。




終わると皆そそくさと帰る。




さっさと願い事しに行きたいもんな。




「俺ちょっと住職さんと話したいから」




サヤカが鈴虫を見ている間に


説法が終わった住職さんに話し掛ける。




「前回の願い事が叶わなかった場合はどうしたらいいんですか?」




「時間が掛かる場合もありますよ」




「いや、もう叶う事はないから……」




「それやったら叶わなかった旨をお地蔵さんに話して新しい願い事をしてもいいですよ」




「そうなんや」




意外とザックリやな。





黄色いお守りを買って


わらじを履いたお地蔵さんの前に立つ。




お守りを挟むように両手を合わせる。




「サーヤは何をお願いするん?」




「えっ? お願い事は人に話すと減っちゃう気がしません?」




「気のせいやろ」




「西川さんは何をお願いするんですか?」




「言うわけないやろ」





ほんまは自分に関するお願いしか


したらあかんって言われたんやけど


俺に浮かぶ願いは一つだけ。




君と結ばれた人が


ずっと幸せでありますように。




叶うまで、叶った後も


俺はそれ以外には願いなどしない。




俺の幸せは俺の力で手に入れるから。














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