48.Sな彼女とドSな彼

休みのサヤカの代わりに


我が社の近くで仕事だった


幸治を誘った。




「今日は会社のキツネちゃんにも俺がサーヤを好きやって決めつけられたんやけど」




「それだけ態度に出てるってことやろ」




「普通にしてるし、他の女の子やったらもっと可愛がってるし」




小野さんはタイプじゃないから


可愛がりはしないけど。




「ははっ。何で紀樹はそこまで否定しようと必死なん?!」




「何か腑に落ちへんねんなー……」




好き!っていう情熱が足りんというか。




「紀樹は恋愛に対しては意外とおカタイよな。好きなだけ悩んだらええやん。やけど、そろそろ俺にも誰か紹介して」




「せやったなぁ。夏やしな」




体を夏にスル?




「はよせな来月から新規の現場やろ? また俺ら遊んでる暇なくなんで」




「りょーかい」




紀樹の携帯が鳴る。



『山田』か……。



またトラブルやな。




「おっ。噂の"あいつ"?」




コウちゃんが笑う。




「ちゃうちゃう。仕事やわ。会社に戻らなあかん」




大好きな会社に戻らんと。




「遅くまでご苦労さんやな。行ってらっしゃい」




先に店を出た。






会社に向かって歩いていると


サヤカのマンションの前を通り過ぎる。




そういや何で休みやったんやろ?




振り返ると一台のタクシーが


マンションの前で停まった。




中からサヤカが姿を現す。





出掛けてたんか。




珍しく洒落た格好で……。





声を掛けようとしたら



タクシーから男が顔を出して



手を振った。





誰……?





親しげに手を振り返すサヤカに



声を掛ける事は出来ない。





男を乗せたままのタクシーが


紀樹の横を走り過ぎた。





暗くて中は見えなかった。





「その子が他の人に取られても別に構わないんだ」




芹香の言葉が胸の奥に刺さる。




俺のもんでも何でもないからやな……




普通に声を掛けたらええやんか。





やのに



何でその場から動かれへんのやろ。












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