47.Sな彼女とドSな彼

「小野さん、サーヤは今日休み?」




サヤカの机に置かれた伝票を見て


今日中の分をパソコンに入力する。




「休みですよ」




「風邪でも引いたん? 夏風邪はバカが引くって言うもんな(笑)」




事務パートの美香に言うと


疑惑の視線を向けられる。




「西川さんって……」




「んー?」




「サーヤと付き合ってるんですか?」




「はあっ?! うわ! 間違えた……」




それやったら休みかどうかなんか


わざわざ聞くわけないやん。




「動揺してるって事は図星ですか?」




狸と狐のナイスコンビの狐ちゃんが


鋭い目つきと声で詰め寄る。




「なんでやねん(笑)。俺にも選ぶ権利があるやろ」




「最近よく二人で出掛けてますよね?」




また見られてたか。




「それはそうやけど。飯食いに行ってるだけやし……」




「私は誘ってくれた事ないのに?」




誘って欲しそうに見えへんもん。




「小野さんは彼氏おるやんか」




基本的に彼氏持ちの女も誘わない。



面倒くさい事になるのは勘弁。




「サーヤも彼氏いますよね?」




「もう別れたからなあ」




「そうなんですか?」




「そうみたいで元彼を引きずって落ち込んではったから誘っただけ」




美香がふふっと笑う。




「ふぅーん。じゃあ、西川さんの片思いなんですね」




へっ?




「えっ?! 何でそうなるん?!」




「西川さんのサーヤを見る目が前と違うんですよね〜。何とも思ってないようには見えませんけど?」




「なんやそれ……」





皆で俺がサーヤを好きやという事に


話をまとめようとしてるんか?!





ドッキリ仕掛けられてんのか?





一般人やのに。








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