22.Sな彼女とドSな彼

「実結、パンツ見えそうやで」




潮風が強くてスカートがひらめく。




青い空に白いミニスカートが眩しい。




「バカッ!」




太ももまでチラ見えする足が


砂を蹴り上げた。




「うわっ! 砂かけんな」




靴に掛かった砂を払う。




「海水じゃないだけ有難いでしょ?!」




全くどいつもこいつも


ああ言えばこう言う。





波打ち際を歩いていると


実結がピタリと足を止めた。




「紀樹、キスして?」




「はあ?」




周りには潮干狩りに来ている家族連れが


わんさかおりますけど。




「前はココでしたじゃん」




言われて気が付いた。



付き合って初めてキスした浜辺か。




「あれは夜やんか(笑)。真っ昼間から何を考えてんねん……っ!」




実結が少し背伸びして唇を奪う。




「隙あり♡どうせ誰も見てないよ」




「あのなー……」




今日はずっと何か変だ。




でも


機嫌が悪いようには見えなかった。





そばの公園でベンチに座る。




手作りの弁当を食べ終えると


実結は地面にしゃがみ込み


シロツメクサで器用に花冠を作った。




頭に乗せてゴソゴソと地面を這う。




「何やってんの?」




「四葉のクローバーないかなって思って」




妖精みたいに可愛い微笑み。




「そう簡単には見つからんやろ(笑)」




「紀樹も探してよ~」




「休憩してからな♪」




「探す気ないよね」と実結はふくれながら


沢山のクローバーをかき分けていた。





一緒に探してやれば良かったな。




くだらないことに夢中になって


頑張ってる実結を見てるのが


楽しかっただけやねん。




最後まで諦めずに


見つかるまで探してやれば良かった。





幸運の四葉のクローバーは



実結一人では見つけられなかったのに。













  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る