11.Sな彼女とドSな彼

「新郎さん、もっと笑顔で~。はいっ」




バシャッ。




撮影した写真はそれぞれの自宅に


後日郵送してもらえるらしい。




「ティアラ着けたままダッシュで逃げられないかな……」



「あほか(笑)」



警備員にガン見されてるやろ。



「冗談だって(笑)」



悪戯っぽく笑いながら


ドレスを翻した実結の後ろ姿に


息を呑んだ。




ベールから透ける背中は


飛び付いてさらいたくなる。




今日の一番は間違いなく実結やろ。






夜までタップリ観光を楽しんで


ホテルにチェックインした。




狭いユニットバスのお風呂でも


必ず一緒に入る。




「実結……。痩せたなあ」



元から細い体をしているけれど


さらに細くなった気がする。


思えば夕飯も少し残してた。



「そうかな」



「そうやろ。ただでさえ脂肪の少ない胸がさらに小っちゃく……ぶっ!」



至近距離でお湯を掛けられ


それ以上は何も聞かなかった。





ちゃんと話を聞いておけば良かった。





素直になれない実結の心の奥を


見ようとしなかったのは


実結の深い優しさに


甘え過ぎてたからかもしれない。










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