第10話 作戦
まずはどのくらいあの改造ゴブリンがいるかが問題。それを把握するにもメルルに森全体の索敵を頼む。そんな便利なことができるのなら最初からやればいいのでは? と思われそうだが、最初から出来るわけでじゃないらしい。
かなり複雑な術式らしいし、それに索敵したい相手を正確に見つけるにはその対象の素子が必要らしい。だから最初から使える代物ではないのだ。まあ今は沢山狩ったゴブリンの素材があるからそれで代用できる。
メルルの周囲には魔法陣が複数出てる。それらが回りながらガシャガシャとしてる。それを感心した目でメドさんとスーメランさんが見てる。何が凄いのかはよくわからないけど多分凄いんだろう。
そして少しするとメルルが魔法を解除して大きく息を吐いた。それを見たドラゴがどうだ? と聞く。けどメルルは口を開きかけて、震えだした。他人と口聞くの苦手だからな。
「おい、どうなんだ?」
相変わらずドラゴはグイグイいくな。めっちゃ嫌そうな目で見られてるぞ。メルルのような子はあんまり急かすと意味ないとそろそろ理解しろよ。メルルは詠唱しだして何か光りの粒子を飛散させた。
すると数十体の改造ゴブリンの姿が頭に入ってきた。しかも森の全景とともに位置までだ。これも魔法? メルルを見ると「これでいいでしょ」とでも言うようにドラゴに背を向けてる。
ここまでされたらドラゴも何も言えない。けど何かあるのか熱い視線を送ってる。でもメルルは魔法で何でもできるからこそ人見知りが治らないって感じだよな。でも今はそんなことはどうでもいい。
ゴブリンが意外と多いのが問題だ。頭の中に入ってきた情報では小さいのは十三体にでかくなってるのが三体いた。どう考えても容量オーバー。闇雲に手出しはできない。特にデカイの一体以上相手にするのは厳しい。
でも小さいのならどうにかなる。デカイのを一気に騎士に押し付けれれば……仮にも騎士だしそう簡単にやられはしないだろう。
「デカイのは騎士に押し付けたいが、あいつらめっちゃ速いからな……」
デンドさんの言葉に苦悩する。簡単なのはチラッと見せてあとは逃げつつ誘導するってのだけど、デカイゴブリンにはそれかできない。ここは魔法かな? それしかない気がする。
「メルル、何か便利な魔法ないか?」
「私だって……なんでもできるわけじゃ……」
「だよな」
それはそうだ。魔法は便利だけど、万能ってわけじゃない。魔力とかもあるし……さっきの魔法で魔力結構使っただろうし……
「けど……やりようはある……よ」
「そうなのか?」
流石メルルさん、頼りになるっす。
「幻術を使えば……誘導できる……と思う。けど今まで見た感じ……興奮状態にあるから……できれば術式を直接埋め込みたい」
「それって?」
「つまり……一回近づいて傷を負わせてくれればいい……」
「なるほど……」
傷さえつければメルルが幻術をしこめるってわけか。それで行くしかないか。更に細かいことを詰めて自分たちは動き出す。
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