パン、美術展、ガッツポーズ
田村はパンを愛する男だった。作文も、美術の自由課題も、夏休みの自由研究ですらパンを題材にしなければ気が済まなかった。ゆえに学校では「パン男」の名をほしいままにし、生み出す作品は注目の的であった。
実を言えばその注目には少なからずあざけりが含まれていたのだが、今回ばかりは田村の熱意を認めざるを得まい。県主催の児童美術展でパンを描いた絵が入賞したのだ。田村はこれを知ったホームルームで衝動的にガッツポーズをした。クラスメイトたちは五分以上にわたって騒ぎたてた。
余りの情熱に、友人でさえどう接していいかわからなくなったというのはまた、別の話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます